確定申告の入力画面で「支払者の氏名・名称」「所在地」「法人番号」という欄を見て、手が止まった方が多いと思います。FANBOXの支援は不特定多数の支援者から集まってくるものなので、誰を支払者として書けばいいのかが分かりません。
先に結論を書きます。FANBOXの支援は源泉徴収されないため、支払者ごとの内訳を書く必要はありません。合計額を収入金額に入れれば足ります。支払者欄を埋めなければならないのは、源泉徴収された報酬がある場合だけです。
この記事では、その理由と、FANBOXの数字をどう集計するかを画面の順に沿って説明します。
FANBOXの数字の構造
支援者が払った金額から、あなたの口座に入るまでに2回、金額が減ります。
| 段階 | 金額の例 | 確定申告での扱い |
|---|---|---|
| ① 支援者が払った支援額の合計 | 50,000円 | これが売上高 |
| ② システム利用料(10%) | △5,000円 | 経費(支払手数料) |
| ③ 受取額 | 45,000円 | 途中の数字 |
| ④ 振込手数料 | △300円 | 経費(支払手数料) |
| ⑤ 口座に入る金額 | 44,700円 | これを売上にしてはいけない |
- 売上高 = 振込額 + システム利用料 + 振込手数料
⑤の44,700円を売上にしても所得は同じですが、売上高だけが5,300円小さくなります。消費税の課税事業者になるかどうかの1,000万円の判定は売上高で行うので、振込額で判定していると、超えているのに気づかないことがあります。
手数料の率
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| システム利用料(R-18コンテンツを投稿しない設定) | 支援額の10% |
| システム利用料(R-18コンテンツを投稿する設定) | 支援額の12.9% |
| 振込手数料(銀行振込・3万円未満) | 200円 |
| 振込手数料(銀行振込・3万円以上) | 300円 |
| 振込手数料(PayPal) | なし |
システム利用料の計算で生じた小数点以下は切り捨てです。年の途中でR-18の設定を変えた場合は、期間ごとに率が変わります。年間の手数料を「支援額×10%」で一括計算すると合わなくなるので、月別の実額を拾ってください。
振込手数料は1回の振込ごとにかかります。支援額の大小とは関係がないので、率で逆算すると必ずずれます。
※ 手数料の条件は変更されることがあります。申告前にpixivFANBOXヘルプセンターで最新の内容をご確認ください。
申告画面での入力
支払者の名称・所在地・法人番号
この欄は、源泉徴収された報酬について、支払者ごとに内訳を書くためのものです。FANBOXの支援は源泉徴収されないので、記入する必要がありません。
なぜ源泉徴収されないかというと、源泉徴収の対象になるのは、支払う側が源泉徴収義務者にあたる場合の「報酬・料金」だからです。FANBOXの支援は、個人の支援者があなたのプランに対して支払うものなので、原則としてここに当たりません。
したがって、FANBOXの年間の支援額合計は、他の源泉徴収されていない収入(同人誌の頒布、DL販売、個人からの依頼など)と合わせて、収入金額の合計に含めるだけで足ります。
どこで金額を確認するか
- FANBOXの収支管理(売上管理)のページを開く
- 月ごとの支援額・システム利用料・受取額を書き出す
- 振込の履歴から振込手数料を拾う
- 1月〜12月の12か月分を並べ、合計を出す
| 月 | 支援額(売上高) | システム利用料 | 振込手数料 | 入金額 |
|---|---|---|---|---|
| 1月 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| … | ||||
| 12月 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| 合計 | 売上高へ | 支払手数料(経費)へ | 通帳と一致するか確認 | |
右端の入金額は検算用です。通帳と一致していれば、集計に漏れがないと分かります。
いつの収入にするか
FANBOXは月額の支援なので、その月の支援は、その月の収入として計上するのが素直です。入金は後になりますが、入金日で処理すると年末の1〜2か月分が翌年にずれ続けます。
実務的には、収支管理のページで確定した月を基準に12か月分を並べるのが最も再現しやすい方法です。どの基準を採るにせよ、毎年同じ方法で処理することが大事です(関連記事も順次追加します)。
支援に対して何かを渡している場合
プランの特典として限定イラストや記事を配信しているだけなら、追加で考えることはありません。
一方、支援者に物理的なグッズや冊子を送っている場合は、その製造原価と送料が経費になり、年末に手元に残っている分は在庫になります。紙のものを扱っているなら棚卸が必要です(関連記事:同人誌の在庫と棚卸)。
他のサービスと合算する
FANBOXだけで申告することはまずありません。BOOTH、Skeb、企業案件などがあればすべて合算して1つの所得にします。
- BOOTHの集計方法(関連記事:BOOTHの確定申告)
- Skebの集計方法(関連記事も順次追加します)
- 源泉徴収された企業案件の扱い(関連記事:漫画家・イラストレーターの確定申告)
合算した収入から経費を引いた所得で、申告が必要かどうかを判定します。会社員なら所得20万円、専業なら基礎控除だけで所得104万円(令和8年分)が目安です(関連記事:クリエイターの確定申告 完全ガイド)。
まとめ
- 支払者欄は書かなくてよい。FANBOXの支援は源泉徴収されないため
- 売上高は振込額 + システム利用料 + 振込手数料
- システム利用料は10%(R-18設定なら12.9%)。年の途中で設定を変えたら月別の実額を拾う
- 振込手数料は1回ごと(3万円未満200円/3万円以上300円、PayPalは無料)
- 入金日ではなくその月の支援をその月の収入に。毎年同じ方法で
- グッズを送っているなら在庫の棚卸が必要
FANBOX・BOOTH・Skeb・YouTubeを並行して使っていると、サービスごとに出てくる数字の粒度が違います。売上総額・手数料・源泉徴収額・入金額を1枚で突き合わせて、分かっている数字だけ入れれば残りが埋まるExcelを用意しています。
FANBOXと他サービスの収入を整理
サービスごとに異なる売上・手数料・入金額を管理しやすくするExcelを用途別にまとめています。
この記事は一般的な情報の提供を目的としています。手数料や画面構成はサービス側の変更があり得るため、申告前にpixivFANBOXヘルプセンターで最新の条件をご確認ください。税務上の個別の判断は税務署または税理士にご相談ください。
