YouTubeの収益で確定申告をするとき、最初に手が止まるのは「結局いくらを収入として書けばいいのか」という点です。
AdSenseの画面には推定収益、確定収益、お支払い予定額といった複数の数字が並びます。しかも広告収益・スーパーチャット・メンバーシップは性質が違い、入金は翌月以降。年末をまたぐ分をどちらの年に入れるかも迷います。
この記事では、どの数字を拾うか、いつの収入にするか、支払者欄に何を書くかの3点を順番に片づけます。
YouTubeの収益の種類
| 収益の種類 | 中身 | 源泉徴収 |
|---|---|---|
| 広告収益 | 動画に表示される広告の配分 | されない |
| スーパーチャット・スーパーサンクス | 視聴者からの投げ銭 | されない |
| チャンネルメンバーシップ | 月額の会員費 | されない |
| YouTube Premium の収益 | Premium会員の視聴に応じた配分 | されない |
| ショッピング・アフィリエイト | 商品紹介の報酬 | されない |
これらはまとめてAdSenseから支払われます。種類ごとに分けて申告する必要はなく、合計額を収入として計上します。ただし、経費との対応を見るために、種類別の内訳を自分の集計表に残しておくと後で役立ちます。
一方、企業から直接受ける案件(タイアップ・PR動画)は別枠です。こちらは源泉徴収されることが多く、支払者ごとに金額と源泉徴収税額を申告書に書く必要があります。
どの数字を収入にするか
使うのはAdSenseの確定した収益額です。推定収益はあくまで速報値なので、申告には使いません。
- AdSenseの「お支払い」→「取引」で、月ごとの確定した収益額と支払額を確認できます
- YouTube Studioのアナリティクスの数字は速報値を含むため、申告にはAdSense側の確定額を使います
- 期間を1月1日〜12月31日で絞って、月別に書き出します
YouTubeの取り分は引く前か、引いた後か
スーパーチャットやメンバーシップでは、視聴者が払った金額とあなたに入る金額が違います。YouTubeの取り分があるためです。
ここはBOOTHやFANBOXとは考え方が変わります。BOOTHはあなたが売り手で、プラットフォームに手数料を払う関係なので、売上は総額で計上し手数料を経費にします。これに対しYouTubeは、あらかじめ取り分が決まったうえで配分されるレベニューシェアの建て付けです。そのため、AdSenseの明細に表示される収益額をそのまま収入とするのが一般的な考え方になります。
大事なのは、どちらの方法を採るにせよ毎年そろえることです。年によって変えると売上の推移が説明できなくなります。手数料の記帳の考え方は別記事にまとめています(関連記事も順次追加します)。
いつの収入にするか
AdSenseは、その月の収益が翌月に確定し、支払基準額に達していれば翌月のうちに支払われます。基準額に届かない月は繰り越されます。つまり12月分の収益は、入金が翌年1月以降になります。
確定申告では、原則として収益が確定した時点で計上します。入金日で処理すると、毎年12月分が翌年にずれ続けます。
| 確定ベース(原則) | 入金ベース | |
|---|---|---|
| 1月〜12月の収益 | すべてその年の収入 | 前年12月分+当年1〜11月分 |
| 12月分の収益 | その年の収入 | 翌年の収入になってしまう |
| 基準額未達で繰り越した分 | 確定した年の収入 | 支払われた年の収入になってしまう |
支払基準額に届かず残高が繰り越されている場合も、収益が確定した年の収入です。「まだ振り込まれていないから来年」ではありません。年末をまたぐ取引の考え方は別記事で詳しく書きます(関連記事も順次追加します)。
支払者欄に何を書くか
事業所得や雑所得の内訳で、支払者の名称・所在地を書く欄があります。YouTube収益の支払元はGoogleのグループ会社ですが、契約している法人はアカウントの条件によって異なることがあります。推測で書かず、次の手順で確認してください。
- AdSenseの「お支払い」→「設定」→「お支払いプロファイル」、または発行されるお支払い明細・請求書に、支払元の法人名と所在地が記載されています
- その名称を、国税庁の法人番号公表サイトで検索すると、法人番号と所在地を確認できます(日本法人の場合)
- 海外法人からの支払いで法人番号がない場合は、法人番号欄は空欄のままで差し支えありません
なお、源泉徴収されていない収入については、支払者ごとに細かく書く必要はありません。合計額を収入金額に含めれば足ります。支払者欄を厳密に埋めなければいけないのは、源泉徴収された取引です。
職業欄や業種の書き方は別記事にまとめます(関連記事も順次追加します)。
米国税務情報の提出
YouTubeで収益化していると、AdSenseで米国税務情報の提出を求められます。これは、米国の視聴者から得た収益について米国側で源泉徴収を行うための手続きです。
- 提出の対象になるのは米国の視聴者から得た収益の部分だけです
- 日本は米国と租税条約を結んでいるため、条約の適用を申請することで源泉徴収の税率が軽減されます。適用される率はAdSenseの税務ツールで確認できます
- 提出していないと、より高い率で源泉徴収されるおそれがあります。収益化したら早めに提出してください
実際に米国で源泉徴収された場合、日本の確定申告で外国税額控除の対象になりうる部分です。金額が大きい場合は、AdSenseの税務情報の画面と明細を持って税務署か税理士に相談してください。少額であれば、収入は源泉徴収前の金額で計上し、控除の適用可否を確認するという流れになります。
外貨で受け取っている場合
AdSenseの支払通貨を米ドルなどにしている場合は、円に換算して申告します。換算に使うレートと時点の考え方は決まりがあるので、毎年同じ方法で継続して適用することが前提になります(関連記事も順次追加します)。
経費
撮影・配信用の機材、編集ソフト、BGMや素材、サムネイルや編集の外注費、自宅の家賃・電気代・通信費の按分などが経費になります。
判断が割れやすいのは、動画で扱ったゲームや商品の購入費です。その動画で実際に使ったことを示せるかが分かれ目になります(関連記事:VTuberの経費一覧)。
MCN・事務所に所属している場合
MCNや事務所を経由して支払いを受けている場合は、支払元がGoogleではなく事務所になります。支払明細で、取り分が引かれる前の金額と引かれた手数料を確認してください。源泉徴収されていることもあります。契約書の建て付けによって収入の金額が変わるので、明細と契約書をそろえて確認するのが確実です。
まとめ
- 使うのはAdSenseの確定した収益額。推定収益は使わない
- 広告・スパチャ・メンバーシップは合計して1つの収入でよい。企業案件だけ別枠
- 12月分の収益はその年の収入。入金が翌年でもずらさない。基準額未達で繰り越した分も同じ
- 支払者の名称・所在地はAdSenseのお支払いプロファイルか明細で確認する。推測で書かない
- 米国税務情報は必ず提出する。租税条約の適用で税率が軽減される
YouTube以外にもBOOTHやFANBOXを使っていると、サービスごとに出てくる数字の粒度が違うため、集計はさらに面倒になります。売上総額・手数料・源泉徴収額・入金額を並べて、分かっている数字だけ入れれば残りが埋まるExcelを用意しています。
複数の収入をまとめて管理
YouTube以外の収入もある方に向けて、売上・経費・税額の整理に使えるExcelを一覧にしています。
この記事は一般的な情報の提供を目的としています。AdSenseの画面構成や支払条件は変更されることがあるため、申告前にAdSenseヘルプで最新の内容をご確認ください。外国税額控除など個別の判断は税務署または税理士にご相談ください。
