BOOTHの振込額を、そのまま売上として書いていませんか。
これは間違いです。しかも厄介なことに、所得(もうけ)の金額は合ってしまうため、確定申告書を作り終えるまで誰も気づきません。気づかないまま、売上高だけが実際より小さい申告書ができあがります。
この記事では、BOOTHの管理画面に出てくる数字がどういう構造になっているのかを分解し、確定申告に使う売上高・手数料・入金額をどう集計すればよいかを順番に説明します。
BOOTHの数字の構造
買った人が払った金額から、あなたの口座に入るまでに2回、金額が減ります。
| 段階 | 金額 | 確定申告での扱い |
|---|---|---|
| ① 購入者が支払った金額(商品価格+送料) | 10,000円 | これが売上高 |
| ② サービス利用料(BOOTHの手数料) | △605円 | 経費(支払手数料) |
| ③ 受取金額 | 9,395円 | 単なる途中の数字 |
| ④ 振込手数料 | △300円 | 経費(支払手数料) |
| ⑤ 口座に入る金額 | 9,095円 | これを売上にしてはいけない |
売上高は①の10,000円、経費は②と④の合計905円です。⑤の9,095円を売上にすると、所得は同じでも売上高が905円小さくなります。
- 売上高 = 振込額 + サービス利用料 + 振込手数料
なぜ売上高を大きく書くほうが正しいのか
「どうせ所得が同じなら、手数料を引いた金額を売上にしても同じでは」と思うかもしれません。違いが出るのは次の場面です。
- 消費税の課税事業者になるかどうかの1,000万円の判定は、売上高で行います。手数料を引いた金額で判定すると、本当は超えているのに気づかないことがあります
- 金融機関に決算書を出すとき、事業の規模が実際より小さく見えます
- 手数料が経費として計上されないため、どれだけプラットフォームに払っているかが分からなくなります
サービス利用料の計算
BOOTHのサービス利用料は、支払い方法にかかわらず同じ率です。
| 商品の種類 | サービス利用料 |
|---|---|
| 自宅から発送する商品 | (商品価格 + 送料)× 5.6% + 45円 |
| ダウンロード商品 | 商品価格 × 5.6% + 45円 |
| 倉庫から発送する商品 | 商品価格 × 5.6% + 45円(別途、倉庫の手数料) |
| pixivFACTORY商品 | マージン × 5.6% + 45円 |
端数は切り上げです。無料配布のダウンロード商品には手数料がかかりません。BOOSTでの上乗せ分にも5.6%がかかります。
1件あたり45円の固定額がある点に注意してください。安い商品をたくさん売ったときは、率だけで逆算すると金額が合わなくなります。300円の商品なら、手数料は約62円で、実質の負担率は20%を超えます。
※ 手数料の率は変更されることがあります。申告の前にBOOTHヘルプセンターで最新の条件を確認してください。
振込手数料
| 振込方法 | 手数料 |
|---|---|
| 銀行振込(3万円未満) | 200円(税込) |
| 銀行振込(3万円以上) | 300円(税込) |
| PayPal | なし |
振込手数料は1回の振込ごとにかかります。売上の金額とは無関係なので、率で逆算すると必ずずれます。月1回まとめて振込申請しているなら、年間で12回分を集計します。
どこの数字を集めるか
BOOTHの売上管理ページで確認できるのは、主に次の3つです。
- 受取金額:サービス利用料を引いたあとの金額(=上の表の③)
- チャージ予定額:pixivのチャージに回す分
- 振込予定額:受取金額 − チャージ予定額 − 振込手数料
お気づきのとおり、この画面に「売上高」は出てきません。だから振込額を売上にしてしまう人が多いのです。売上高を出すには、注文の一覧から購入者が支払った金額を拾うか、受取金額に手数料を足し戻す必要があります。
実務的には、次の表を1年分そろえるのが最短です。
| 月 | 売上高(総額) | サービス利用料 | 振込手数料 | 入金額 |
|---|---|---|---|---|
| 1月 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| … | ||||
| 12月 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| 合計 | 売上高へ | 支払手数料(経費)へ | 通帳と一致するか確認 | |
右端の入金額は、通帳と突き合わせるための検算用です。ここが合っていれば、集計に漏れがないと分かります。
いつの売上にするか
BOOTHでは、その月の末日までに発送が完了した注文が売上の対象になり、翌月1日に受取金額として反映され、翌月20日から5営業日以内に振り込まれます。つまり12月に発送した分は、1月に入金されます。
確定申告では、入金日ではなく引き渡した日で計上するのが原則です。したがって12月発送分は、入金が1月でもその年の売上になります。ここを入金ベースで処理すると、毎年12月分が翌年にずれ続けます。
ダウンロード商品は購入と同時に引き渡しが完了するので、購入日で計上します。年末をまたぐ取引の考え方は別記事で詳しく書きます(関連記事も順次追加します)。
迷いやすいポイント
送料は売上に入れる
購入者から受け取った送料も売上高に含めます。そして実際に支払った配送料を経費(荷造運賃)に計上します。差し引きしてゼロにするのではなく、両建てで記録してください。サービス利用料が「商品価格+送料」に対してかかるのも、送料を含めて取引金額と見ているからです。
BOOSTや投げ銭も売上
購入者が上乗せしてくれたBOOST分も、事業に関連して受け取ったものなので売上に含めます。手数料も上乗せ分を含めて計算されています。
在庫がある場合
紙の同人誌やグッズを扱っている場合、年末に手元や倉庫に残っている分は在庫になります。その分の印刷代・製造原価は、その年の経費にはなりません(関連記事:同人誌の在庫と棚卸)。
売上が1,000万円を超えたら
課税売上高が1,000万円を超えると、原則としてその2年後から消費税の課税事業者になります。この判定は手数料を引く前の売上高で行います。振込額で判定していると、気づかないうちに超えていることがあります。
まとめ
- 売上高は振込額 + サービス利用料 + 振込手数料
- サービス利用料は5.6% + 45円。1件45円の固定額があるので率だけの逆算は合わない
- 振込手数料は1回ごと(3万円未満200円/3万円以上300円、PayPalは無料)
- 売上管理ページに出るのは受取金額であって売上高ではない
- 12月発送・1月入金はその年の売上
- 送料もBOOSTも売上に含める
BOOTH以外にもFANBOXやSkebを使っていると、サービスごとに出てくる数字の粒度が違うため、集計はさらに面倒になります。分かっている数字だけ入れれば残りが埋まる形で、売上総額・手数料・源泉徴収額・入金額を1枚で突き合わせられるExcelを用意しています。
BOOTHの売上・手数料・入金を一元管理
振込額だけでは追いにくい売上総額、手数料、未入金をExcelで整理できます。
この記事は一般的な情報の提供を目的としています。手数料や入金サイクルはサービス側の変更があり得るため、申告前にBOOTHヘルプセンターで最新の条件をご確認ください。税務上の個別の判断は税務署または税理士にご相談ください。
