クリエイターの確定申告 完全ガイド|同人・イラスト・配信の収入と経費【2026年分】

クリエイターの確定申告 完全ガイド|同人・イラスト・配信の収入と経費【2026年分】

同人誌が売れた。イラストの依頼を受けた。配信の収益化が通った。うれしい反面、頭をよぎるのが「これ、確定申告いるのかな」という不安だと思います。

ネットで調べると「20万円を超えたら申告」と書いてあります。でも、その20万円が売上なのか、手元に残った金額なのかがはっきり書かれていない。学生だとどうなのか、扶養から外れるのか、BOOTHの振込額をそのまま書けばいいのか——調べるほど分からなくなる。

この記事は、同人作家・漫画家・イラストレーター・VTuber・動画配信者が自分で確定申告をするための全体像をまとめたものです。申告が必要かの判定から、収入をいくらで数えるか、経費、記帳、e-Taxの入力まで、迷いやすい順に並べています。個別のサービスや職種の細かい話は、それぞれの記事にリンクしています。

※ この記事は令和8年分(2026年1月〜12月の活動、2027年2〜3月に申告)を前提に書いています。令和8年度税制改正で基礎控除・給与所得控除・扶養の所得要件がいずれも変わっているため、去年の記事の数字をそのまま使うとずれます。制度の数値は国税庁タックスアンサーで確認しています(確認日:2026年9月)。

目次

まず結論:あなたに申告が必要かどうか

創作・配信をしている人は、だいたい次の3つのどれかに当てはまります。自分がどれか決めてから先を読んでください。

あなたの状況申告が必要になるライン
会社員・アルバイトで、年末調整が済んでいる(給与は1か所)創作・配信の所得が20万円を超えると所得税の確定申告が必要
給与がなく、創作・配信が主な収入(専業・フリーランス)所得控除の合計を超える所得が出たら必要。目安は基礎控除だけなら所得104万円(令和8年分)
学生・主婦などで親や配偶者の扶養に入っている申告の要否とは別に、合計所得62万円を超えると扶養から外れる(令和8年分)

20万円は「売上」ではなく「所得」

ここが一番の誤解ポイントです。20万円という基準は、給与所得者の、給与以外の「所得金額」についてのものです。所得とは、次の引き算をした後の金額をいいます。

  • 所得 = 収入(売上) − 必要経費

同人誌の売上が60万円で、印刷代とイベント参加費と資料代で45万円かかっていれば、所得は15万円です。売上60万円だけを見て「20万円を超えたから申告だ」と慌てる必要はありません。逆に、DL販売で経費がほとんどかかっていない場合は、売上に近い金額がそのまま所得になります。

20万円以下でも申告が必要になる場合がある

「20万円以下なら何もしなくていい」わけではありません。次の場合は例外です。

  • 住民税の申告は必要です。20万円ルールは所得税の話で、住民税にこのルールはありません。所得税の確定申告をしない場合は、お住まいの市区町村に住民税の申告をすることになります
  • 医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)で確定申告をするなら、20万円以下の創作収入も含めて申告します。一部だけ申告する、はできません
  • 給与を2か所以上から受けている、年末調整が済んでいない、給与収入が2,000万円を超えるなどの場合は、別の要件で判定します
  • 源泉徴収されている場合は、申告すると戻ってくることが多いです。これは「必要」ではなく「したほうが得」という話です(後述)

給与所得者の20万円ルールそのものの判定は、別記事で詳しく整理しています(関連記事も順次追加します)。

令和8年分で押さえておく金額

令和8年分は控除額がまとめて引き上げられています。よく使う数字だけ並べておきます。

項目令和8年分ひとこと
基礎控除(所得税)合計所得132万円以下なら104万円所得が上がると段階的に下がる
基礎控除(住民税)43万円所得税とは別。据え置き
給与所得控除の最低額74万円アルバイト収入がある人向け
扶養親族・同一生計配偶者の所得要件合計所得62万円以下超えると扶養から外れる
勤労学生控除合計所得89万円以下で27万円学生本人の税金を減らす控除

住民税の基礎控除が43万円で据え置かれている点に注意してください。所得税はかからないのに住民税はかかる、という帯が存在します。「税金ゼロだと思っていたら6月に住民税の通知が来た」というのは、ここが原因です。

扶養の判定は、親の扶養控除・配偶者控除だけでなく健康保険の扶養にも関わります。金額の全体像は別記事にまとめています(関連記事も順次追加します)。

あなたの収入は事業所得か、雑所得か

申告が必要だと分かったら、次は所得の種類です。創作・配信の収入は、ほとんどの場合事業所得か雑所得のどちらかになります。

事業所得雑所得
青色申告できる(最大65万円控除)できない
赤字のとき給与などと損益通算できるできない
帳簿必要収入金額300万円超なら書類保存が必要

どちらになるかは、その活動が社会通念上、事業といえるかで判断します。実務上の大きな分かれ目は帳簿書類を作って保存しているかどうかです。記帳して保存していれば、おおむね事業所得として扱われます。逆に、記帳していない少額の収入は雑所得と扱われやすくなります。

「同人活動は趣味だから雑所得」と決めつける必要はありません。判断の考え方は別記事で掘り下げます(関連記事も順次追加します)。

収入を「いくら」で数えるか

ここが、創作・配信の申告でいちばん間違いが多いところです。

振込額を売上にしてはいけない

BOOTHやFANBOX、YouTubeが教えてくれるのは、たいてい手数料を引いたあとの振込額です。これをそのまま売上高として書くと、売上高も経費も同じだけ小さくなります。

  • 売上高 = 振込額 + 販売手数料 + 源泉徴収された税額

手数料を引いた後の金額を売上にしても、所得(もうけ)は同じです。ではなぜ問題かというと、売上高だけが小さく見えるからです。消費税の課税事業者になるかどうかの1,000万円の判定は売上高で行いますし、金融機関に決算書を見せるときの見え方も変わります。手数料の記帳方法は別記事で詳しく書きます(関連記事も順次追加します)。

いつの売上にするか

入金があった日ではなく、原則として商品を引き渡した日・役務の提供が完了した日で計上します。12月に売れて1月に振り込まれたものは、12月の売上です。年末年始をまたぐ取引は必ずここで迷うので、別記事にまとめます(関連記事も順次追加します)。

経費の考え方

経費になるかどうかは、その支出が収入を得るために直接必要だったかで決まります。「創作関連だから」ではなく「この作品・この配信のために使ったか」で考えます。

もうひとつ大事なのが私用部分の切り分けです。家賃や電気代、スマホ代のように、生活にも仕事にも使うものは家事関連費と呼ばれ、業務に必要な部分を記録に基づいて明らかに区分できる場合に限り、その部分だけが経費になります(所得税法45条、所得税法施行令96条)。「だいたい半分」では足りず、作業時間や使用面積など、後から説明できる根拠を残しておく必要があります。

源泉徴収されているなら、申告すると戻ってくることが多い

出版社やゲーム会社からの原稿料・イラスト報酬は、支払う側が所得税を天引きします。率は10.21%(1回の支払いが100万円を超える部分は20.42%)です。

これは取られた税金ではなく前払いした税金です。1年分の所得から計算した所得税より前払い分が多ければ、差額が戻ってきます。活動を始めたばかりで所得が少ない年は、天引きされた分がまるごと還付されることも珍しくありません。

注意点として、支払調書は本人に交付する義務がありません。届かない取引先もあります。届かなくても申告はできますし、確定申告書への添付も不要です。ただし年間いくら源泉徴収されたかは自分で積み上げる必要があるので、請求書か入金明細を1年分そろえておいてください。

還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。過去に申告していない年があっても、まだ間に合う可能性があります。

記帳と保存

やることは多くありません。次の3つがそろっていれば、申告書は作れます。

  1. 売上の一覧:サービスごとに、売上総額・手数料・源泉徴収額・入金額を並べる
  2. 経費の一覧:日付・支払先・内容・金額・事業割合
  3. 領収書・請求書・入金明細:原則7年間(白色申告の場合、一部5年)保存

電子でやりとりした請求書や領収書(メール添付のPDF、サイトからのダウンロード)は、電子データのまま保存する必要があります。印刷して紙で保存する運用は原則できません。

青色申告にすべきか

事業所得として申告できるなら、青色申告を選べます。手間は増えますが、見返りは小さくありません。

白色申告青色申告
事前の届出不要必要(原則、適用したい年の3月15日まで)
帳簿簡易な記帳複式簿記(10万円控除なら簡易でも可)
特別控除なし最大65万円(e-Tax等の要件あり)/55万円/10万円
赤字の繰越しできない3年間繰り越せる
少額減価償却資産の特例使えない使える

気をつけたいのは期限です。青色申告承認申請書は、適用を受けたい年の3月15日までに出す必要があります(その年に新たに事業を始めた場合は、開業日から2か月以内)。確定申告の時期に「青色にしよう」と思っても、その年分には間に合いません。来年分から青色にしたいなら、今年のうちに出しておきます。

開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)は、事業を始めてから1か月以内に提出することとされています。青色申告をするなら、開業届と青色申告承認申請書はセットで出すのが通常です。

逆に、収入がまだ小さく赤字も出ていない段階なら、白色で記帳の習慣をつけるほうが現実的です。大事なのは青色か白色かより、記帳しているかどうかです。帳簿があるかどうかは、事業所得と認められるかの判断にも効いてきます。

申告のスケジュールと必要なもの

時期やること
年間を通して売上と経費を記録する。レシートに用途を一言書いて保存
12月末在庫(紙の同人誌・グッズ)の数を数える。按分の割合を確定させる
1月前年12月分の入金を確認。サービスごとの年間集計を作る
2月16日〜3月15日確定申告(曜日により前後します)
3月15日その年分から青色申告にしたい場合の申請期限
6月ごろ住民税の通知が届く

e-Taxで提出する場合に必要なものは次のとおりです。

  • マイナンバーカードと、読み取れるスマートフォン(またはICカードリーダー)
  • または、税務署で発行してもらうID・パスワード方式の届出完了通知
  • 売上と経費の集計表
  • 源泉徴収されている場合は、支払者ごとの収入金額と源泉徴収税額
  • 控除に使う書類(国民年金・国民健康保険の支払額、生命保険料控除証明書、ふるさと納税の受領証明書など)
  • 還付を受ける本人名義の口座情報

青色申告特別控除の最大額(65万円)を受けるには、e-Taxでの申告か電子帳簿保存が要件になっています。紙で提出すると55万円になります。

サービス別の入り口

申告画面で手が止まるのは、たいてい「このサービスの数字をどこから持ってくるか」という段階です。使っているサービスの記事へ進んでください。

よくある間違い5つ

  1. 売上20万円で判定してしまう。20万円は経費を引いた後の所得です
  2. 振込額を売上にしてしまう。手数料は売上に足し戻して、経費として別に立てます
  3. 印刷代を全部その年の経費にしてしまう。売れ残った分は在庫(棚卸資産)になります
  4. 住民税を忘れる。所得税が0でも住民税の申告が要る帯があります
  5. 源泉徴収された分を申告していない。戻ってくるはずのお金を放置していることになります

まとめ

  • 判定に使うのは売上ではなく所得(売上 − 経費)
  • 会社員の副業なら所得20万円超で所得税の申告。ただし住民税は別
  • 扶養の判定は合計所得62万円(令和8年分)
  • 売上高は振込額 + 手数料 + 源泉で数える
  • 源泉徴収されているなら、申告すると戻ってくることが多い。還付申告は5年間できる

最初の関門は、税金の知識よりもサービスごとにバラバラな数字を1枚にまとめることです。BOOTH・FANBOX・Skeb・YouTubeの売上総額・手数料・源泉徴収額・入金額を並べて、そのまま申告書の金額になるところまで持っていけるExcelを用意しています。

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この記事は一般的な情報の提供を目的としています。個別の判断は、活動の実態によって結論が変わります。金額が大きい場合や判断に迷う場合は、税務署または税理士にご確認ください。

参考にした公式情報

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