決算書はできたけれど、定時株主総会の議事録をまだ作っていない。前年のひな形はあるものの、今年もそのまま使ってよいか分からない。そんな小さな会社向けに、決算承認に使う株主総会議事録のWordテンプレートを無料で配布します。
取締役会を置かない会社用、取締役会設置会社用、総会を開催しない「みなし決議」用に加え、株主の同意書と書き方ガイドをセットにしました。空欄版と記入例を見比べながら、自社の内容に書き換えられます。
定時株主総会議事録を無料ダウンロード
Word3点セット・登録不要・v1.1
空欄版4ページ/記入例つき4ページ/書き方ガイド2ページ。ZIPを展開してご利用ください。
個別に保存する場合:空欄版(Word) / 記入例つき(Word) / 書き方ガイド(Word)
対象は株式会社の定時株主総会・決算承認です。合同会社、役員報酬の決定、役員変更登記用の様式は含みません。定款・機関設計・実際の決議内容に合わせて修正してください。
入っている様式と選び方
| 様式 | 使う場面 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 様式1 | 取締役会を設置していない会社で総会を開く | 事業報告・計算書類承認。配当の議案は必要な場合だけ使用 |
| 様式2 | 取締役会設置会社で総会を開く | 取締役会承認済みの計算書類を承認。監査役の監査報告文を収録 |
| 様式3 | 書面等による同意で総会の決議・報告を省略する | みなし決議・みなし報告の議事録 |
| 様式3の別紙 | 様式3を使うとき | 計算書類承認と事業報告の報告省略に関する株主の同意書 |
会社の機関設計は登記事項証明書と定款で確認します。様式2は監査役による監査報告がある例であり、監査等委員会設置会社などのすべての機関設計に対応するものではありません。監査役の監査範囲が会計に限定される会社は、事業報告まで監査したという文面をそのまま使わず、実際の監査内容に合わせてください。
一人会社でも議事録は必要?
株主が社長ひとりでも、株式会社である以上、決算後の手続は必要です。会社法296条1項は毎事業年度終了後の一定時期に定時株主総会を招集することを定め、318条1項は議事録の作成を求めています。
計算書類は原則として定時株主総会の承認事項、事業報告は報告事項です(438条2項・3項)。会計監査人設置会社で439条の要件を満たす場合は計算書類も報告事項になります。会社法の条文を確認する(e-Gov)
総会を開催する代わりに、法定の同意をそろえて「みなし決議」を使うこともできます。ただし、開催していない総会の日時や出席者を作って通常の議事録に書くのではなく、様式3と同意書を使って実際の手続を記録します。
このテンプレートで確認できる3つのポイント
1.議事録の作成を担当した取締役の欄がある
会社法施行規則72条3項6号に対応する「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」欄を設けています。議長名や署名欄だけで済ませず、この項目も確認できます。
2.開催した総会と、みなし決議を分けて記録できる
通常の総会とみなし決議では、法定の記載事項が異なります。様式3は施行規則72条4項に対応し、決議・報告があったとみなされる事項や日付を記録する構成です。会社法施行規則72条を確認する(e-Gov)
3.みなし決議の根拠となる同意書も残せる
議事録を作るだけでは、株主が同意した記録の代わりにはなりません。別紙の同意書には計算書類の承認と、事業報告の報告省略を記載しています。株主が複数いる場合は、必要な全員分を集めて保存してください。
みなし決議では「承認」と「報告省略」の同意を分けて確認
計算書類の承認に関するみなし決議では、取締役または株主が提案し、その議案について議決権を行使できる株主全員が書面または電磁的記録で同意する必要があります(会社法319条1項)。過半数の同意では足りません。
事業報告の報告省略では、取締役が株主全員に報告すべき内容を通知したうえで、総会での報告を要しないことについて株主全員の書面または電磁的記録による同意を得ます(320条)。計算書類に賛成したことだけで、事業報告の報告省略にも同意したことにはなりません。
たとえば、株主が社長1名で、計算書類の承認議案に書面同意し、事業報告の内容を通知したうえで報告省略にも書面同意する場合は、様式3と別紙を使います。決議日・報告日は各同意の要件がそろった日を記録し、作業の都合で日付をさかのぼらせないでください。
通常の総会議事録に記載する6項目
会社法施行規則72条3項は、総会を開催した場合の議事録について、次の事項を定めています。条件付きの項目は該当する場合に記載します。
- 開催日時と場所。離れた場所から役員・株主などが参加した場合は、その参加方法
- 議事の経過の要領と結果
- 同項3号に掲げる法令の規定による意見・発言があった場合は、その概要
- 出席した取締役・執行役・会計参与・監査役・会計監査人の氏名または名称
- 議長がいる場合は、その氏名
- 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
様式1・2では、定足数と賛成数を確認できるよう、株主数・株式数・議決権数も記録します。普通決議の要件は定款に別段の定めがなければ、議決権の過半数を有する株主の出席と、その出席議決権の過半数の賛成です(会社法309条1項)。「全員賛成」などの表現は、実際の結果に合わせて書き換えます。
テンプレートの使い方
- ZIPを展開し、空欄版・記入例・ガイドを開きます。
- 機関設計と開催方法に合う様式を選び、使わないページを削除します。
- 会社名、事業年度、日付、出席者、株主数、議決権数を入力します。
- 実際の決議・報告内容に合わせて修正します。監査役を置かない場合は該当行を、配当しない場合は様式1の配当議案を削除します。
- みなし決議の場合は計算書類の提案と事業報告の通知を行い、必要な株主全員の同意をそろえます。
- 先頭のグレーの様式案内と本文中の「※」の説明を削除し、印刷プレビューで確認します。
配布時点では空欄版・記入例ともA4の4ページです。文字数やフォント、利用環境により改ページが変わるため、入力後に確認してください。配当を行う場合は、議事録の作成とは別に分配可能額や準備金の積立額などの確認が必要です。
保存期間と押印の確認
通常の株主総会議事録は、総会の日から本店に10年間、写しは支店に5年間備え置きます。支店については、電磁的記録の閲覧等に対応できる法定の措置を取る場合の例外があります(会社法318条2項・3項)。
みなし決議の同意書または電磁的記録は、決議があったとみなされた日から本店で10年間備え置きます(319条2項)。本テンプレートでは、事業報告の報告省略の同意も同じ用紙で記録し、議事録・提案資料・通知資料と一緒に保存する運用を想定しています。
決算承認だけの株主総会議事録について、会社法318条・施行規則72条には一律の署名押印義務はありません。ただし、定款や金融機関など提出先の指定を確認してください。本様式の押印欄は必要に応じて使う欄です。役員変更登記の添付書類には別の要件があるため、そのまま流用しないでください。
よくある質問
定時株主総会は決算後3か月以内に開く必要がありますか?
会社法296条1項は「毎事業年度の終了後一定の時期」と定めており、一律に決算後3か月以内とする規定ではありません。一方、基準日を設ける場合の権利行使は基準日から3か月以内という制約があるため(124条2項)、定款の基準日や申告日程と合わせて開催日を確認します。
前年度の議事録の日付だけ変えてもよいですか?
日付だけでなく、事業年度、株主・役員の変更、議決権数、配当の有無、開催方法、決議結果まで確認してください。計算書類ができる前の日付で承認したことにしたり、開催していない総会の記録を作ったりすることは避けます。
役員報酬を決める議事録にも使えますか?
この配布セットは決算承認向けで、役員報酬決定の議案は収録していません。役員報酬の検討は、一人会社の役員報酬の決め方と役員報酬の変更時期をご覧ください。
無料テンプレートを保存して決算後の手続に備える
毎年の決算承認は、自社に合う様式を選び、その年の事実を記録することが基本です。みなし決議を使う場合は、議事録だけでなく、提案・通知・同意の記録までセットで残しましょう。
v1.1では、同意書に事業報告の通知と報告省略への同意を追加しています。本テンプレートは一般的な様式の例です。定款・機関設計・議案により必要な手続や記載は異なるため、個別の判断は司法書士・弁護士等に、決算・税務面は顧問税理士にご確認ください。
決算書類の準備に役立つ関連記事
参考にした法令
- 会社法(e-Gov法令検索):124条、296条、309条1項、318条、319条、320条、438条、439条
- 会社法施行規則(e-Gov法令検索):72条
条文確認日:2026年9月23日。
