配信者の確定申告|広告・投げ銭・企業案件の収入と経費

配信者の確定申告|広告・投げ銭・企業案件の収入と経費

配信者の確定申告がややこしいのは、税金のルールが特殊だからではありません。収入の入り口が多すぎて、何をいくらで数えればいいのかが分からないからです。

広告収益、スーパーチャット、メンバーシップ、企業案件、グッズ、事務所からの分配。それぞれ支払元が違い、手数料の引かれ方も違い、源泉徴収の有無も違います。「20万円を超えたら申告」と言われても、その20万円をどう数えるのかが分からない。

この記事では、まず収入の種類を整理して1本の数字にまとめるところから始めます。そのうえで、申告が必要になるラインを確認します。

目次

配信の収入を6つに分ける

収入の種類支払元源泉徴収金額の拾い方
広告収益プラットフォームされない明細の収益額
投げ銭・ギフト(スパチャ等)プラットフォームされない明細の収益額
メンバーシップ・サブスクプラットフォームされない明細の収益額
企業案件(PR配信・タイアップ)企業・代理店されることが多い自分が出した請求書
グッズ・ボイス販売販売サイトされない販売総額(手数料を引く前)
事務所からの分配所属事務所されることがある事務所の支払明細

この6つをすべて合算して1つの所得にします。プラットフォームごとに別々に申告するのではありません。合算した収入から経費を引いた金額が、申告の判定に使う所得です。

  • 所得 = 全プラットフォームの収入合計 − 必要経費

「総額」で数えるものと「明細額」で数えるもの

ここが配信者特有の悩みどころです。プラットフォームによって、あなたの立場が違います。

  • あなたが売り手のとき(BOOTHやFANBOXでのグッズ・ボイス販売、支援プラン)は、買った人が払った総額が売上高です。差し引かれた手数料は経費として別に計上します
  • レベニューシェアのとき(YouTubeの広告収益・スパチャ・メンバーシップなど)は、プラットフォームとの取り分が決まったうえで支払われるので、明細に表示される収益額が売上高になるのが一般的な考え方です

どちらで処理するにせよ、毎年同じ方法で一貫して処理することが大事です。年によって変えると、売上の推移が説明できなくなります。手数料の記帳の考え方は別記事で詳しく書きます(関連記事も順次追加します)。

いくらから申告が必要か

あなたの立場所得税の確定申告が必要になるライン
会社員・アルバイトで年末調整済み(給与は1か所)配信の所得が20万円超
専業(給与がない)所得が控除の合計を超えたら。基礎控除だけなら所得104万円が目安(令和8年分)
学生で扶養に入っている合計所得62万円を超えると扶養から外れる(令和8年分)

20万円は売上ではなく所得です。配信用のPCやマイク、家賃の按分、ゲームソフト代を引いた後の金額で判定します。

また、20万円ルールは所得税だけの取り扱いで、住民税にはありません。所得税の確定申告をしない場合でも、お住まいの市区町村に住民税の申告が必要です。判定の詳しい考え方と学生の場合の金額は、別記事にまとめています(関連記事:同人活動の確定申告はいくらから?/クリエイターの確定申告 完全ガイド)。

源泉徴収されている収入がある場合

企業案件や事務所からの分配で、入金額が請求額より少ないことがあります。これは源泉徴収です。原稿料や出演料などの報酬は、支払う側が10.21%(1回の支払いが100万円を超える部分は20.42%)を天引きして国に納めます。

これは前払いした税金なので、確定申告で精算されます。所得が少ない年は、天引きされた分が戻ってくることが多いです。申告が「不要」であっても、源泉徴収されているなら申告したほうが得になります。還付申告は翌年1月1日から5年間できます。

注意点として、支払調書はあなたに交付する義務がありません。届かない取引先もあります。年間の源泉徴収税額は、自分の請求書か支払明細から積み上げてください。

事務所に所属している場合

ライバー事務所やVTuber事務所に所属していても、雇用されているのでなければ、収入は給与ではありません。事務所からの支払いは報酬であり、自分で確定申告をすることになります。

  • 事務所の取り分(マネジメント手数料)が引かれている場合、引かれる前の金額が収入、引かれた手数料が経費になるのが原則です
  • ただし契約によっては、分配後の金額があなたの収入となる建て付けのこともあります。契約書と支払明細の書き方を確認してください
  • 源泉徴収されているかどうかも、支払明細で確認します

まれに給与として支払われているケースもあります。その場合は源泉徴収票が発行され、扱いが変わります。まず自分が受け取っているのが報酬なのか給与なのかを確認するのが出発点です。

投げ銭・ギフトは収入になるか

なります。視聴者からの応援であっても、配信活動に関連して受け取ったものは収入です。「気持ちでもらったものだから贈与」という整理はできません。

金額は、プラットフォームの明細に表示される収益額で拾います。視聴者が払った金額とあなたに入る金額が違うのは、プラットフォームの取り分があるためです。

なお、いわゆる欲しいものリストから送られてきた品物も、配信に関連して受け取ったものであれば収入として扱う必要が出てきます(関連記事も順次追加します)。

経費

配信用のPC・マイク・カメラ・キャプチャボード、配信ソフト、BGMや効果音の素材、サムネイルの外注費、自宅の家賃や電気代の按分などが経費になります。

判断が割れやすいのは、ゲームソフト・ガチャ・課金です。配信に使ったことを示せるかどうかが分かれ目になります。具体的な線引きは別記事でまとめています(関連記事:VTuberの経費一覧)。

開業届と青色申告

収入が安定してきたら、事業所得として青色申告することを検討してください。最大65万円の特別控除が使え、赤字を3年間繰り越せます。

気をつけるのは期限です。青色申告承認申請書は、適用したい年の3月15日まで(その年に開業した場合は開業から2か月以内)に提出する必要があります。確定申告の時期に思い立っても、その年分には間に合いません。

事業所得になるか雑所得になるかは、帳簿書類を作って保存しているかどうかが実務上の大きな分かれ目です(関連記事も順次追加します)。

まとめ

  • 配信の収入は6種類に分けてから全部合算する
  • グッズ販売は総額、広告や投げ銭は明細の収益額。方法は毎年そろえる
  • 判定は所得(収入 − 経費)。会社員なら20万円、専業なら104万円、学生の扶養は62万円が目安
  • 住民税に20万円ルールはない
  • 企業案件や事務所分配で源泉徴収されているなら、申告すると戻ってくることが多い
  • 投げ銭・ギフトも収入。贈与ではない

配信者の申告で一番時間がかかるのは、プラットフォームごとにバラバラな明細を1枚にまとめる作業です。売上総額・手数料・源泉徴収額・入金額を並べて、分かっている数字だけ入れれば残りが埋まるExcelを用意しています。

配信収入を確定申告前に整理

収入源が複数ある方に向けて、集計・比較・管理に使えるExcelを用途別にまとめています。

この記事は一般的な情報の提供を目的としています。事務所との契約形態によって扱いが変わります。個別の判断は税務署または税理士にご確認ください。

参考にした公式情報

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