損益分岐点売上高をExcelで計算・グラフ化する方法

損益分岐点売上高をExcelで計算・グラフ化する方法

「あといくら売上が落ちたら赤字になるのか」「値上げしたら、客数が何%減っても大丈夫なのか」——こうした問いに数字で答えるための道具が損益分岐点分析です。考え方はシンプルで、Excelとの相性は抜群。経営会議資料の説得力が一段上がります。

この記事では、損益分岐点の計算式から、固定費・変動費の分解、Excelでの計算とグラフ化、感度分析までを解説します。

目次

損益分岐点の基本式

損益分岐点売上高(利益がちょうどゼロになる売上高)は、次の式で求めます。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率
限界利益率 = 1 − 変動費率(変動費÷売上高)

たとえば固定費が月300万円、変動費率が40%(限界利益率60%)なら、損益分岐点は300万円÷0.6=月商500万円。これを下回る月は赤字、上回った分の60%が利益になる——という構造が見えるようになります。

あわせて安全余裕率 =(実際の売上高 − 損益分岐点売上高)÷ 実際の売上高も計算しておくと、「売上があと何%落ちても耐えられるか」が1つの数字で示せます。

最初の関門:固定費と変動費の分解

実務では、厳密さより続けられる簡便さを優先し、勘定科目ごとに固定・変動を割り当てる「勘定科目法」で十分です。

区分代表的な科目
変動費仕入高・材料費・外注費・販売手数料・荷造運賃
固定費人件費・地代家賃・減価償却費・リース料・保険料・水道光熱費(基本部分)
迷う科目残業代(準変動)・広告費(方針次第)→ 自社ルールを決めて毎期同じ扱いにする
勘定科目法による固変分解の目安

大事なのは分類の正しさを議論することではなく、同じルールで毎期比較することです。科目マスタに固変区分の列を1つ持たせれば、月次データからSUMIFで自動集計できます。

Excelで計算表とグラフを作る

ステップ1:計算表

変動費率 =変動費計/売上高
限界利益率 =1-変動費率
損益分岐点売上高 =固定費計/限界利益率
安全余裕率 =(売上高-損益分岐点売上高)/売上高
目標利益達成売上高 =(固定費計+目標利益)/限界利益率

「目標利益達成売上高」まで並べておくと、損益分岐点が守りの指標、こちらが攻めの指標として対で機能します。

ステップ2:損益分岐点グラフ

売上高を0から最大値まで10刻み程度で並べた表を作り、各売上高に対する「売上線(y=x)」と「総費用線(固定費+変動費率×売上)」を散布図(直線)で重ねます。2本の線の交点が損益分岐点です。現在の売上高の位置に縦線(データ系列)を足すと、「今どこにいるか」が一目で伝わります。

ステップ3:データテーブルで感度分析

Excelの「データテーブル」機能(What-If分析)を使うと、「変動費率×固定費」の組み合わせごとの損益分岐点を一覧表にできます。

  • 「家賃を5万円下げたら分岐点はいくら下がる?」
  • 「原価率が3%上がったら、必要売上はいくら増える?」
  • 「値上げで客数が10%減っても利益が増える値上げ幅は?」(関連記事:No.86 値上げシミュレーション

こうした問いに即答できる表があると、経営判断の会話が「感覚」から「数字」に変わります。

使うときの注意点

  • 損益分岐点は利益ベースの指標。借入元本返済を賄うには「返済も含めた必要売上」を別途計算する(固定費に年間元本返済額÷(1−実効税率)を加える方法が簡便)
  • 複数事業・複数商品で変動費率が大きく違う場合は、事業別に分けて計算する(関連記事:No.82 部門別損益管理
  • 固変分解を毎期変えると比較不能になる。ルールを固定する

損益分岐点分析テンプレートのご案内

固変分解の科目マスタ・計算表・損益分岐点グラフ・感度分析テーブルをセットにした損益分岐点分析テンプレート(Excel)を用意しています。月次損益データを貼り付けるだけで、経営会議に出せるグラフまで自動生成されます。

まとめ

  • 損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率。安全余裕率とセットで見る
  • 固変分解は勘定科目法で十分。ルールを固定して毎期同じ基準で比較する
  • 散布図で売上線と総費用線を重ねれば、交点=損益分岐点が視覚化できる
  • データテーブルの感度分析で「家賃減額」「原価率上昇」「値上げ」の影響に即答できる
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