売上は計上した。請求書も送った。でも、お金は入っていない——売掛金は「入金されて初めて売上が完結する」という当たり前が、忙しい現場では簡単に抜け落ちます。気づいたときには数ヶ月前の未入金が積み上がり、回収のハードルは時間とともに上がっていきます。
この記事では、売掛金の滞留を自動で見つける「年齢調べ表(エイジングリスト)」をExcelで作る方法と、回収管理の運用ルールを解説します。
年齢調べ表とは:売掛金を「経過期間」で層別する
年齢調べ表は、得意先ごとの売掛金残高を「期日からの経過期間」で区分した表です。
| 区分 | 状態 | アクションの目安 |
|---|---|---|
| 期日前 | 正常 | — |
| 期日超過 1〜30日 | 要注意 | 入金確認の連絡(事務的に) |
| 31〜60日 | 滞留 | 督促+新規取引の与信見直し |
| 61〜90日 | 危険 | 取引条件の変更・出荷停止の検討 |
| 91日超 | 回収困難の恐れ | 内容証明・法的手段・貸倒の検討 |
ポイントは、担当者の記憶や「たぶん大丈夫」に頼らず、経過日数という客観的な物差しで機械的に層別することです。
Excelでの作り方
ステップ1:請求データを1行1請求で持つ
- 請求日/得意先名/請求額/入金期日/入金日/入金額/ステータス
鍵は「残高」ではなく請求単位で持つことです。残高だけ見ていると、新しい入金が古い未収を覆い隠します(例:先月分は入金されたが、3ヶ月前の1件がずっと未回収)。
ステップ2:経過日数と区分を自動計算
未回収額 =請求額-入金額
経過日数 =IF(未回収額>0, TODAY()-入金期日, "")
区分 =IFS(経過日数<=0,"期日前", 経過日数<=30,"1-30日",
経過日数<=60,"31-60日", 経過日数<=90,"61-90日", TRUE,"91日超")
ステップ3:得意先×区分のマトリクスに集計
=SUMIFS(未回収額範囲, 得意先範囲, $A3, 区分範囲, B$1)
ピボットテーブルでも同じ表が作れます。仕上げに条件付き書式で「61日超に金額がある行」を赤くすれば、開いた瞬間に危険な得意先だけが目に飛び込む表になります。
ステップ4:入金消込のルール
入金があったら、どの請求に対する入金かを特定して入金日・入金額を埋めます(消込)。金額違い(振込手数料の差引・一部入金)は、差額を残した状態で理由をメモ列に記録します。「差額の放置」が消込精度を殺す最大の敵です。1,000円未満の手数料差額は月次でまとめて処理する、などのルールを決めておきます。
運用ルール:月次5分+担当分担
- 月初に入金消込を完了させ、年齢調べ表を更新(数式なので自動)
- 「1〜30日」区分は経理から事務的に連絡(感情を挟まず定型文で)
- 「31日超」は営業担当・経営者にエスカレーション(取引継続の判断を含むため)
- 四半期ごとに滞留額の推移を経営会議で確認(増加傾向なら与信ルールを見直す。関連記事:No.180 与信管理の基本)
滞留売掛金は決算でも論点になります。回収不能が明らかな債権は貸倒損失・貸倒引当金の検討対象です。(関連記事:No.54 貸倒引当金の計算)
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まとめ
- 売掛金は残高ではなく請求単位で管理する——新しい入金が古い未収を隠すため
- 経過日数で機械的に層別する年齢調べ表が、記憶と感覚に頼らない回収管理の土台
- 消込の差額は放置せず、理由を記録して月次で処理するルールを決める
- 30日以内は経理の定型連絡、31日超は経営判断へエスカレーション

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