試算表を渡して「今月も順調ですね」で終わる月次報告と、1枚のレポートを挟んで「粗利率が2ヶ月続けて下がっていますが、仕入価格ですか?値引きですか?」と切り出す月次報告。顧問料の差がつくのはこの瞬間です。
この記事では、試算表をそのまま渡すのをやめ、グラフと一言コメントで構成する1枚レポートをExcelで量産する方法を解説します。1件あたりの作成時間は、仕組み化すれば10分です。
なぜ試算表のままではダメなのか
試算表は会計の専門家のための帳票です。経営者が知りたいのは勘定科目の残高ではなく、「儲かっているのか」「お金は足りるのか」「何か手を打つべきことはあるか」の3つだけ。この3つに答える形式に変換するのが、月次報告の付加価値です。
1枚レポートの構成:5つのパーツ
| パーツ | 内容 | 作り方 |
|---|---|---|
| ①今月の要点(3行) | 良かったこと・気になること・来月の論点を各1行 | 唯一の手書き部分。ここが価値の核心 |
| ②売上・粗利のグラフ | 月次推移12ヶ月+前年を点線で重ねる | 月次損益データから自動生成 |
| ③利益の状況 | 営業利益の推移と予算比 | 同上 |
| ④資金の状況 | 現預金残高の推移、借入残高 | 資金繰り表・返済予定表から参照 |
| ⑤重要指標3つ | 粗利率・労働分配率・損益分岐点比率など業種に合わせて固定 | 自動計算 |
Excelでの仕組み化
データと見た目を分離する
月次損益管理表(関連記事:No.1 7)のデータシートをそのまま参照し、レポートシートはグラフとコメント枠だけのレイアウトにします。月次データを更新すれば、グラフも指標も自動で当月版になる——毎月作るのはコメント3行だけ、が目指す状態です。
グラフは「少なく・同じ形で」
- グラフは最大3つ。多いほど読まれなくなる
- 毎月同じ形・同じ位置——経営者が「見方」を覚えるので、変化に自分で気づくようになる
- 増減要因の説明にはウォーターフォール図が有効(関連記事:No.146 ウォーターフォールグラフの作り方)
印刷・PDF化まで整える
A4縦1枚に収まるよう印刷範囲を固定し、事務所ロゴと「作成:担当者名」を入れます。見た目の完成度は内容の信頼度に直結します。(関連記事:No.99 Excel帳票を美しく印刷する設定)
コメント3行の書き方
①〜⑤のパーツで最も価値があるのは、自動化できない①のコメントです。型を決めておくと迷いません。
- 事実+解釈:「粗利率が前月比▲2pt。仕入単価の上昇が主因です」(数字の言い換えではなく原因に踏み込む)
- 兆候+質問:「残業代が3ヶ月連続増。受注増と人員不足、どちらの認識ですか」(対話の起点を作る)
- 先回り:「11月は賞与と中間納税が重なります。資金は◯万円の準備が必要です」(関連記事:No.11 納税スケジュール)
この3行が毎月続くと、顧問先にとって税理士は「申告してくれる人」から「経営を見てくれている人」に変わります。決算時にはこの月次の延長線として決算報告書を作れば一貫性も出ます。(関連記事:No.122 決算報告書の作り方)
月次報告レポートテンプレートのご案内
5パーツ構成・データ分離設計・A4の1枚レイアウト・コメント文例集まで揃えた月次報告レポートテンプレート(Excel)を用意しています。月次損益管理表テンプレートと連動し、2ヶ月目からは1件10分で作成できます。
まとめ
- 経営者の関心は「儲かっているか・お金は足りるか・打つ手はあるか」の3つだけ
- レポートは5パーツ構成。グラフと指標は自動化し、人はコメント3行に集中する
- グラフは3つまで・毎月同じ形。経営者が自分で変化に気づけるようになる
- コメントは「事実+解釈」「兆候+質問」「先回り」の型で書く

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