資金繰り表の作り方(小さな会社向け・記入例つき)

資金繰り表の作り方(小さな会社向け・記入例つき)

会社が止まるのは赤字になったときではなく、現金が尽きたときです。それを防ぐ唯一の道具が資金繰り表です。

結論:小さな会社の資金繰り表は、「月初残高+入金−出金=月末残高」を月ごとに並べるだけの表で十分です。会計ソフトの損益とは別に、現金の動きだけを6か月先まで見える化します。

目次

資金繰り表の最小構成:3ブロック

ブロック 内容
入金 売上入金(現金売上/売掛金回収)、借入、その他入金
出金 仕入支払、給与・役員報酬、社会保険料、家賃、経費、税金、借入返済
残高 月初残高 + 入金合計 − 出金合計 = 月末残高

ポイントは発生ではなく入出金のタイミングで書くことです。3月の売上でも入金が5月なら、5月の行に書きます。ここが損益計算書との決定的な違いです(利益とお金がズレる理由)。

記入例(イメージ)

項目 7月 8月 9月
月初残高 300 255 285
売掛金回収 200 250 180
入金合計 200 250 180
仕入・外注費 60 75 55
役員報酬・給与 80 80 80
社会保険料 25 25 25
家賃・経費 50 30 30
納税(消費税中間) 0 0 60
借入返済 30 10 10
出金合計 245 220 260
月末残高 255 285 205

(単位:万円。数値は説明用のサンプルです)

この例では9月に納税で残高が落ち込むことが2か月前に分かる——これが資金繰り表の価値です。

作る手順(5ステップ)

  1. 過去2〜3か月の通帳・会計データから実績を埋める:費目は上の例くらい粗くてよい
  2. 向こう6か月の「確定している出金」を先に置く:役員報酬・社会保険料・家賃・借入返済は毎月ほぼ固定
  3. 忘れがちな出金を織り込む:法人税等・消費税(中間含む)、労働保険の年度更新、賞与、源泉所得税(納期の特例なら1月・7月)。納税の見積もり方は納税資金の考え方
  4. 入金は保守的に見積もる:確定している受注・継続契約だけをベースにし、見込み案件は割り引く
  5. 月末残高に「最低ライン」を引く:固定費の2〜3か月分を下回る月が見えたら、対策(入金前倒し・支払い交渉・借入)を先に打つ

運用のコツ

  • 月1回、月初に更新:前月実績を確定させ、予測を1か月分延ばす(常に6か月先まで見える状態を保つ)
  • 精度より継続:費目を細かくしすぎると更新が続かない。10費目以内が目安
  • 判断とセットで使う:大きな買い物・採用・借入の前に、資金繰り表に反映してから決める
  • 日々の入金管理・売掛金の回収管理は別の仕組みで行い、資金繰り表には月次合計を転記する

よくある失敗

  • 損益計算書の数字をそのまま転記してしまう(入出金タイミングのズレが消える)
  • 納税・賞与・年払い費用を入れ忘れ、その月だけ突然資金が枯れる
  • 作ったきり更新しない(資金繰り表は「生きた予測」でないと意味がない)
  • 消費税の預り分を自分のお金と錯覚する(法人税等の納税資金はいくら残す?納税予測の考え方

まとめ

  • 資金繰り表は「月初残高+入金−出金=月末残高」を6か月分並べるだけでよい
  • 発生ではなく入出金のタイミングで記録する
  • 固定出金→納税等の臨時出金→保守的な入金、の順で埋める
  • 月1回の更新を習慣化し、残高の最低ラインを常に監視する


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