運送業の車両別採算をExcelで管理する方法【燃料費・高速代・傭車費】

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運送業のコスト管理は年々シビアになっています。燃料価格の変動、ドライバーの時間外規制(2024年問題)以降の人件費上昇、高速道路料金――会社全体では黒字でも、車両別に見ると「走るほど赤字のトラック」が混ざっていることは珍しくありません。どの車両・どの荷主が儲かっているのかを掴まない限り、運賃交渉も配車の見直しも始まりません。

この記事では、車両別・ドライバー別の収支管理表をExcelで作る方法と、燃料単価変動の影響分析、傭車と自社便の採算比較までを解説します。

目次

基礎知識:車両別採算の構成要素

車両別の収支は「運賃収入−変動費−固定費−共通費配賦」で構成されます。

  • 収入:運賃・付帯作業料・燃料サーチャージ(荷主別・車両別に紐づけ)
  • 変動費:燃料費・高速代・フェリー代・タイヤ等の走行比例費
  • 車両固定費:ドライバー人件費(社保込み)・車両の減価償却またはリース料・自動車税・保険・車検整備
  • 共通費:配車担当・事務所家賃等を台数や売上で配賦

判断を誤らないコツは、まず「車両限界利益(収入−変動費)」で見ることです。限界利益がプラスなら走れば走るほど固定費回収に貢献しており、マイナスなら走るほど傷が深くなります。

Excelでの実装手順

ステップ1:運行データの記録シート

日次または運行単位で「日付/車両番号/ドライバー/荷主/運賃収入/走行km/燃料給油量・金額/高速代/付帯収入」を記録します。デジタコ・燃料カード・ETCの明細CSVが出るなら、貼り付け→SUMIFS集計の流れにして手入力を最小化します(関連記事:No.98 Power Queryによる経理自動化)。

ステップ2:車両別月次収支表を自動集計する

車両別収入 =SUMIFS(運賃,車両,対象車両,月,当月)
車両別燃料費 =SUMIFS(燃料金額,車両,対象車両,月,当月)
限界利益 =収入-燃料費-高速代-その他変動費
車両別営業利益 =限界利益-人件費-償却・リース-保険税金-共通費配賦

あわせてkm当たり指標(円/km)を並べます。「収入円/km」「燃料費円/km」「限界利益円/km」で車両間を比較すると、車格の違いを超えて採算の良し悪しが見えます。燃費(km/L)の車両別推移は、車両の老朽化やドライバーの運転特性の指標にもなります。

ステップ3:燃料単価変動の影響分析

燃料単価10円上昇の影響額 =月間給油量(L)×10円
必要サーチャージ転嫁額 =影響額/対象荷主の売上×100(%)

単価が10円動いたら月次利益がいくら動くかを常設の感度表にしておくと、燃料サーチャージの交渉資料が5分で作れます。国交省の「標準的運賃」や燃料サーチャージの考え方を引用しつつ、自社の実数で示すのが交渉の定石です(運賃値上げの理論は関連記事:No.86 値上げシミュレーション)。

ステップ4:傭車と自社便の採算比較

案件を傭車(外注)に出すか自社便で走るかの判断は、「傭車費」と「自社の変動費+機会コスト」の比較です。自社車両に空きがあるなら変動費だけで比較し(固定費はどのみち発生)、車両がフル稼働なら増車コストまで含めて比較する――状況によって比較すべきコストが変わる点をシートの前提選択(空きあり/フル稼働)で切り替えます。

実務の注意点・つまずきポイント

  • ドライバー人件費は社保込み・残業込みで:基本給だけで採算を見ると大きく狂います。時間外の実績も車両別に紐づけます(関連記事:No.71 残業時間と36協定のチェック
  • 荷主別採算も同じデータで出せる:車両軸の集計をSUMIFSの条件を荷主に変えるだけで、赤字荷主の特定→運賃交渉の優先順位付けができます
  • 修繕費の平準化:車検・タイヤ・大型修理は発生月に集中します。月割引当(積立)列を設けると月次のブレが減ります
  • リース車と保有車の混在:償却とリース料で費目が違っても、車両別表では「車両固定費」に統一して比較可能にします(関連記事:No.170 社用車リース・購入比較
  • 燃料費の私的流用チェック:燃料カードの給油量と走行kmから燃費を自動計算し、異常値(燃費の急悪化)を検知する列はガバナンス面でも有効です

運送業車両別採算テンプレートのご案内

本記事の設計(運行データ→車両別・荷主別収支→円/km指標→燃料感度表→傭車比較)を組み込んだ「運送業 車両別採算管理Excel」を用意しています。燃料カード・ETCのCSVを貼り付けるだけで月次の車両別収支と燃費異常検知が完成し、運賃交渉・配車見直し・増車判断の根拠資料が揃います。

まとめ

  • まず車両限界利益(収入−変動費)で「走るほど赤字」の車両を特定する
  • 円/km指標で車格を超えた比較、燃費推移で老朽化・運転特性を監視する
  • 燃料単価の感度表を常設し、サーチャージ交渉資料を即座に出せるようにする
  • 傭車判断は空きあり(変動費比較)かフル稼働(増車コスト込み)かで基準を切り替える
  • 人件費は社保・残業込みで紐づけ、荷主別採算も同じデータから出す
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