社用車はリース・購入・カーシェアのどれが得かExcelで比較する

Featured image for 社用車はリース・購入・カーシェアのどれが得かExcelで比較する

【2026年7月20日更新】新リース会計基準(2027年4月以後開始事業年度から適用)に関する注記を追加しました。

「社用車はリースと購入どっちが得ですか?」――顧問先からの定番質問ですが、「リースは経費になるから得」「現金購入は金利がないから得」といった断片的な答えでは正しい判断になりません。正解は保有期間全体の総コスト(と資金繰りへの影響)を並べて比較すること。最近はカーシェア・サブスクという第3の選択肢も加わり、使用頻度によっては保有しない方が安いケースも増えています。

この記事では、購入(現金・ローン)・リース・カーシェアの総コストをExcelで比較するモデルの作り方を解説します。

目次

基礎知識:3つの選択肢の構造の違い

項目購入カーリースカーシェア
経費化減価償却(新車6年・定率法等)リース料を月額経費化利用料をその都度経費化
初期資金大(頭金・諸費用)小(原則ゼロ〜小)ゼロ
維持費自動車税・保険・車検を自己負担メンテリースなら込み込み(ガソリン代も込みが多い)
資産計上固定資産に計上オペレーティングリースは原則オフバランス(中小)なし
向くケース長期保有・走行距離多資金繰り優先・管理を省力化使用頻度が低い(月数回)

ポイントは3つです。①購入の経費化は減価償却のため初年度に全額経費にはならない(中古車の耐用年数短縮は別論点。関連記事:No.64 中古資産の耐用年数)。②リースは総支払額に金利・手数料が乗るため、名目総額では購入より高くなるのが普通。③カーシェアは使用頻度次第で圧倒的に安いが、業務利用の記録管理が必要です。

Excel比較モデルを作る手順

ステップ1:前提条件の入力欄を作る

  • 車両価格・想定保有年数・想定売却価額(残価)
  • ローン利用の有無・金利・期間
  • リース料月額・リース期間・メンテ込みかどうか
  • 年間維持費(自動車税・保険・車検積立・駐車場・燃料)
  • カーシェアの想定利用頻度・1回あたり料金
  • 実効税率(節税効果の計算用。マスタ参照)

ステップ2:選択肢別の年次キャッシュフロー表を作る

保有年数分の年次表を選択肢ごとに作り、「支出─節税効果(経費×実効税率)+売却回収」で正味負担を計算します。

購入の正味負担 =車両支出+維持費-減価償却費*実効税率-売却価額
リースの正味負担 =リース料年額*(1-実効税率)
カーシェア =年間利用料*(1-実効税率)

減価償却は定率法の年次展開を組み込み、売却時の帳簿価額との差額(売却益・売却損)の税効果も反映すると精度が上がります(簡易版では定額近似でも実用上十分です)。

ステップ3:総額比較と資金繰り比較の2画面にする

①保有期間トータルの正味負担額の比較(棒グラフ)と、②年次の資金流出の比較(折れ線)を並べます。「総額では購入が有利でも、初年度の資金流出はリースの3分の1」という2軸が見えると、資金繰り状況に応じた判断ができます(関連記事:No.16 資金繰り表の作り方)。カーシェアには「月◯回利用までならシェアが最安」という損益分岐回数を自動表示させると説得力が出ます。

実務の注意点・つまずきポイント

  • リース総額と購入価格の単純比較はNG:リースには金利・手数料・メンテ費が含まれています。比較は「同じ範囲のコスト」に揃えてから行います
  • 中途解約リスク:リースは原則中途解約不可(解約金発生)。事業の不確実性が高い場合は契約期間を短めに設計します
  • 家事使用がある場合の按分:役員が私用にも使う車は、法人でも使用状況の記録が重要です。個人事業主は事業割合の按分が必要です(関連記事:No.12 家事按分の計算
  • 高級車は「事業に必要か」を問われる:スポーツカー等は損金性が争われた裁決例もあります。業務での使用実態を説明できる記録を残してください
  • 消費税の扱いも異なる:購入は取得時に一括で仕入税額控除(原則課税の場合)、リースは支払の都度。還付や納税額のタイミングに影響します
  • 新リース会計基準(2027年4月以後開始事業年度から適用):上場企業等では、オペレーティングリースを含む原則すべてのリースが借手のオンバランス(使用権資産・リース負債の計上)となります。中小企業は引き続き中小会計指針等による従来処理が可能ですが、上場子会社・会計監査対象の会社や金融機関の財務指標への影響(自己資本比率・ROA等)を気にする会社では、「オフバランスだからリース」という判断軸が使えなくなる点に注意してください

車両コスト比較シミュレーターのご案内

本記事のモデル(前提入力→3択の年次CF→総額比較グラフ+資金繰り比較+シェア損益分岐回数)を組み込んだ「社用車リース・購入・カーシェア比較Excel」を用意しています。車両価格とリース見積を入れるだけで顧問先に見せられる比較資料が完成します。設備投資の即時償却・税額控除の判定はこちら(関連記事:No.103 即時償却と税額控除の有利判定)。

まとめ

  • 比較は「保有期間トータルの正味負担」と「年次の資金流出」の2軸で行う
  • 購入は減価償却のため初年度全額経費化はできない。リースは総額に金利・手数料込み
  • 使用頻度が低いならカーシェアの損益分岐回数を確認する
  • 節税効果は経費×実効税率で評価し、売却回収まで含めて計算する
  • 中途解約・家事使用・高級車の損金性など個別論点は事前に確認する
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次