中古資産の耐用年数の計算方法|簡便法の算式・端数処理・資本的支出50%判定まで【計算例つき】

中古資産の耐用年数を簡便法でExcel計算する方法【中古車節税の実際】

中古の社用車を買った。中古のアパートを取得した。中古の機械を導入した。

そのたびに「この資産の耐用年数は何年だったか」と調べ直していないでしょうか。中古資産は、法定耐用年数をそのまま使う必要がありません。使用可能期間を見積もるか、簡便法という決まった算式で短い年数を出すことができます。

ただしこの計算、実務では間違いが起きやすい3つのポイントがあります。

  1. 経過期間を「年」で切ってしまい、耐用年数が1年ずれる
  2. 資本的支出があるのに、いつもの簡便法で計算してしまう
  3. 取得した事業年度に採用し忘れ、翌期以降に変更しようとして使えない

この記事では、簡便法の算式と端数処理から、資本的支出があるときの3パターン、耐用年数が決まったあとの償却率の引き方まで、計算例を追いながら整理します。最後に、この一連の判定をそのまま自動化したExcelも紹介します。

この記事の計算例はすべて、後述のExcelツールで検算した数値です。


目次

中古資産は法定耐用年数を使わなくてよい

減価償却資産の耐用年数は、通常「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表で決まっています。普通乗用車なら6年、木造の住宅用建物なら22年、といった具合です。

ただし中古資産を取得して事業に使う場合は、この法定耐用年数ではなく、その資産をあと何年使えるかをもとにした短い年数を使うことが認められています(耐用年数省令3条1項)。

方法は2つあります。

方法 内容 位置づけ
見積法 使用可能期間を合理的に見積もり、その年数を耐用年数とする 原則
簡便法 決められた算式で機械的に年数を出す 見積りが困難なときに使える

条文上は見積法が原則ですが、中古資産の残存使用可能期間を客観的に見積もるのは現実には難しく、実務ではほとんどの場合が簡便法です。

いちばん見落とされる前提:使えるのは「事業供用した事業年度」だけ

ここが実務で最も痛い論点です。

中古資産の耐用年数の短縮は、その資産を事業の用に供した事業年度においてのみ決めることができます。取得した期にうっかり法定耐用年数で償却を始めてしまうと、翌期以降に「やっぱり簡便法にします」と変更することはできません。

決算作業で固定資産台帳に新規登録するとき、「これは中古か?」を必ず確認する。この一手間が、あとから取り返せない差になります。


簡便法の算式は2つだけ

簡便法は、法定耐用年数を全部経過しているか、一部だけかで算式が変わります。

① 法定耐用年数を全部経過している場合

耐用年数 = 法定耐用年数 × 20%

② 法定耐用年数の一部を経過している場合

耐用年数 =(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%

端数処理のルール

計算結果には必ずこの2つを適用します。

  • 1年未満の端数は切り捨てる(四捨五入ではありません)
  • 計算結果が2年に満たないときは2年とする

つまり、どれだけ古い中古資産でも、簡便法で2年を下回ることはありません。


【最重要】経過期間は「年」ではなく「月数」で計算する

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

簡便法の算式に出てくる「経過年数」は、1年未満の端数を切り捨てた年数ではありません。経過期間を月数に直し、月単位のまま計算します。端数を落としてよいのは、最後に年へ換算したあとの1回だけです。

1年5ヶ月落ちの中古車で比べてみる

法定耐用年数6年(普通乗用車)、経過期間1年5ヶ月の車を例にします。

❌ 経過年数を「1年」と切ってしまった場合

(6年 − 1年)+ 1年 × 20% = 5年 + 0.2年 = 5.2年 → 5年

⭕ 月数で計算した場合

法定耐用年数 6年 = 72ヶ月
経過期間 1年5ヶ月 = 17ヶ月

(72ヶ月 − 17ヶ月)+ 17ヶ月 × 20%
= 55ヶ月 + 3.4ヶ月
= 58.4ヶ月
= 4年10.4ヶ月 → 1年未満切捨て → 4年

5年と4年。1年ずれます。

耐用年数が1年違えば、初年度から償却費が変わり、そのまま所得に響きます。しかも冒頭で触れたとおり、取得した期を過ぎてしまえば直せません。

経過期間はどこから、どこまで数えるか

起算点(いつから)

資産 起算点
普通乗用車 初度登録年月(車検証で確認)
軽自動車 初度検査年月(車検証で確認)
中古建物 新築年月(登記事項証明書で確認)
中古機械・器具備品 製造年月

終期(いつまで)

その中古資産を取得した時までです。 事業の用に供した時ではありません。国税庁も「経過年数は、新築等されてから取得した時までの期間になります」と明示しています。

ここで混乱しやすいのですが、次の2つは別の話です。

論点 基準
経過年数をどこまで数えるか 取得の時 まで
見積法・簡便法をいつ採用できるか 事業の用に供した事業年度 において

取得してすぐ事業に使う通常のケースでは両者はほぼ一致しますが、自宅の車を後から事業用に転用した場合など、取得と事業供用が離れているときは差が出ます。経過年数は取得時までで数えてください。


中古車の耐用年数 早見表

経過月数から耐用年数を逆算すると、こうなります。

普通乗用車(法定耐用年数6年)

経過期間 簡便法による耐用年数
1年3ヶ月以下(15ヶ月以下) 5年
1年4ヶ月〜2年6ヶ月(16〜30ヶ月) 4年
2年7ヶ月〜3年9ヶ月(31〜45ヶ月) 3年
3年10ヶ月以上(46ヶ月以上) 2年

軽自動車(法定耐用年数4年)

経過期間 簡便法による耐用年数
1年3ヶ月以下(15ヶ月以下) 3年
1年4ヶ月以上(16ヶ月以上) 2年

「中古車は4年落ちが有利」とよく言われますが、正確には普通乗用車は3年10ヶ月落ちの時点で耐用年数2年になります。4年落ちを待つ必要はありません。軽自動車にいたっては1年4ヶ月落ちで2年です。

※ 経過期間は「初度登録(軽自動車は初度検査)年月 〜 取得年月」で数えます。


計算例4つで手順を確認する

例1|4年落ちの社用車

項目 内容
資産 普通乗用車(一般乗用車)
法定耐用年数 6年(=72ヶ月)
経過期間 48ヶ月
(72 − 48)+ 48 × 20% = 24 + 9.6 = 33.6ヶ月
33.6 ÷ 12 = 2.8年 → 切捨て → 2年

適用する耐用年数:2年

例2|築30年5ヶ月の木造アパート

項目 内容
資産 木造・住宅用建物
法定耐用年数 22年(=264ヶ月)
経過期間 365ヶ月(法定耐用年数を全部経過)
264 × 20% = 52.8ヶ月
52.8 ÷ 12 = 4.4年 → 切捨て → 4年

適用する耐用年数:4年

法定耐用年数を大きく超えていても、2年ではなく4年です。「全部経過なら一律で最短」と思い込むと間違えます。

例3|築25年の中古RCマンション

項目 内容
資産 鉄筋コンクリート造・住宅用
法定耐用年数 47年(=564ヶ月)
経過期間 300ヶ月
(564 − 300)+ 300 × 20% = 264 + 60 = 324ヶ月
324 ÷ 12 = 27年 → 27年

適用する耐用年数:27年

例4|2年落ちの中古パソコン

項目 内容
資産 パーソナルコンピュータ(サーバー用を除く)
法定耐用年数 4年(=48ヶ月)
経過期間 24ヶ月
(48 − 24)+ 24 × 20% = 24 + 4.8 = 28.8ヶ月
28.8 ÷ 12 = 2.4年 → 切捨て → 2年

適用する耐用年数:2年


資本的支出があるときは3パターンに分かれる

中古資産は「買ってすぐ手を入れる」ことがよくあります。中古の機械を導入して改造した、中古物件を取得してリフォームした、といったケースです。

このとき支出した金額が資本的支出にあたる場合、簡便法がそのまま使えるとは限りません。金額の大きさによって、次の3パターンに分かれます。

判定フロー

資本的支出の額はいくらか?
│
├─ 取得価額 × 50% 以下
│     → ① 簡便法をそのまま適用
│
├─ 取得価額 × 50% 超 かつ 再取得価額 × 50% 以下
│     → ② 按分算式で計算
│
└─ 再取得価額 × 50% 超
      → ③ 法定耐用年数をそのまま適用(短縮できない)

再取得価額とは、同じ資産を新品で買い直すとしたらいくらか、という金額です。中古資産の取得価額ではありません。ここを取り違えると判定が丸ごと狂います。

② 按分算式の中身

資本的支出が取得価額の50%を超えると簡便法は使えなくなり、本来は使用可能期間を見積もることになります。ただし次の算式によることが認められています。

耐用年数 = (取得価額 + 資本的支出)
           ÷(取得価額 ÷ 簡便法の耐用年数 + 資本的支出 ÷ 法定耐用年数)

※ 計算結果の1年未満は切捨て

中古部分は簡便法の短い年数、後から入れた新しい部分は法定耐用年数。それぞれの「1年あたりの償却額」を足して、全体の投資額を割り戻す考え方です。実務でいちばん手が止まる算式でしょう。

例5|資本的支出200万円のケース(パターン②)

項目 金額・年数
資産 金属製品製造業用設備
法定耐用年数 10年(=120ヶ月)
経過期間 72ヶ月
中古資産の取得価額 3,000,000円
資本的支出 2,000,000円
再取得価額 8,000,000円

Step 1|簡便法の耐用年数を出す

(120 − 72)+ 72 × 20% = 48 + 14.4 = 62.4ヶ月
62.4 ÷ 12 = 5.2年 → 5年

Step 2|50%判定をする

取得価額 × 50%   = 1,500,000円 < 2,000,000円  … 超えている
再取得価額 × 50% = 4,000,000円 ≧ 2,000,000円  … 超えていない
→ パターン② 按分算式

Step 3|按分算式に入れる

(3,000,000 + 2,000,000)
÷(3,000,000 ÷ 5年 + 2,000,000 ÷ 10年)
= 5,000,000 ÷(600,000 + 200,000)
= 5,000,000 ÷ 800,000
= 6.25年 → 切捨て → 6年

適用する耐用年数:6年

簡便法だけで判断していたら5年としてしまうところです。

例6|資本的支出500万円のケース(パターン③)

同じ設備で、資本的支出が5,000,000円だった場合。

再取得価額 × 50% = 4,000,000円 < 5,000,000円  … 超えている
→ パターン③

適用する耐用年数:10年(法定耐用年数)

中古資産としての短縮は一切できません。同じ資産・同じ経過期間でも、資本的支出の金額次第で 5年・6年・10年 と結論が変わります。


耐用年数が決まったら償却率を引く

年数が出たら、次は償却率です。定額法と定率法で引く表が違います。

主要な耐用年数の償却率(平成24年4月1日以後に取得した資産)

耐用年数 定額法償却率 定率法償却率 改定償却率 保証率
2年 0.500 1.000 — —
3年 0.334 0.667 1.000 0.11089
4年 0.250 0.500 1.000 0.12499
5年 0.200 0.400 0.500 0.10800
6年 0.167 0.333 0.334 0.09911
8年 0.125 0.250 0.334 0.07909
10年 0.100 0.200 0.250 0.06552
15年 0.067 0.133 0.143 0.04565
22年 0.046 0.091 0.100 0.03182
27年 0.038 0.074 0.077 0.02624

出典:減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第八(定額法)・別表第十(定率法)

定率法で押さえる3つのこと

1. 償却保証額を下回ったら切り替える

調整前償却額(未償却残高 × 定率法償却率)< 償却保証額(取得価額 × 保証率)
→ その年から「改定取得価額 × 改定償却率」に切り替える

2. 定率法が使えない資産がある

  • 建物(平成10年4月1日以後に取得したもの)
  • 建物附属設備・構築物(平成28年4月1日以後に取得したもの)
  • 無形固定資産(ソフトウエア等)

※ 鉱業用の建物・建物附属設備・構築物は、定額法と生産高比例法の選択になります。

これらは定額法のみです。中古アパートを取得して「簡便法で4年、定率法で一気に」と考えても、建物本体には使えません。

3. 取得時期で表が変わる

上の表は200%定率法(平成24年4月1日以後取得)です。平成19年4月1日から平成24年3月31日までに取得した資産は250%定率法(別表第九)で、数値が異なります。

届出をしていない場合の償却方法

区分 法定償却方法
法人 定率法
個人事業主 定額法

※ 建物など、そもそも定額法しか選べない資産を除く


よくある間違い5つ

1. 経過期間を年で切ってしまう

この記事の中心テーマです。月数で計算してください。

2. 全部経過なら一律2年だと思い込む

法定耐用年数 × 20% です。法定22年なら4年、法定47年なら9年になります。2年になるのは法定耐用年数が14年以下の資産で、15年以上なら3年以上です。

3. 資本的支出を無視する

取得と同時にリフォームや改造をしていないか、必ず確認します。50%判定の相手が「取得価額」と「再取得価額」の2つある点にも注意が必要です。

4. 再取得価額を中古の取得価額と取り違える

再取得価額は「今、新品で買うといくらか」です。メーカー見積やカタログ価格で確認します。

5. 取得した事業年度に採用し忘れる

翌期以降に変更することはできません。新規計上時の確認が最後の砦です。


この判定、毎回やるのは正直しんどい

ここまで読んで気づかれたと思います。中古資産の耐用年数は、単純な引き算ではありません。

  • 経過月数を数える
  • 全部経過か一部経過かで算式を分ける
  • 月数で計算し、最後に年へ換算して切り捨てる
  • 2年未満なら2年に直す
  • 資本的支出があれば、取得価額の50%・再取得価額の50%と比べる
  • パターン②なら按分算式に入れる
  • 出た年数で償却率表を引き直す

年に何件も出てくる作業ではないぶん、毎回思い出すところから始まります。そして思い出しきれなかったところが、そのままミスになります。

Excelに任せるという選択

この一連の判定をそのまま組み込んだExcelテンプレートを用意しました。

中古資産 耐用年数 かんたん判定シート

  • 資産区分をドロップダウンから選ぶと、法定耐用年数が自動で入る(建物・車両・器具備品・機械装置など主要区分を収録)
  • 新築/初度登録の年月と取得年月を入れると、経過月数を月単位で自動計算。端数処理も自動
  • 資本的支出と再取得価額を入れると、3パターンのどれに当たるかを自動判定。按分算式の計算まで自動
  • 求まった耐用年数に対応する定額法・定率法の償却率、改定償却率、保証率、償却保証額を自動表示
  • 計算過程が全部画面に出るので、A4 1枚に印刷して顧問先やレビュー担当への説明資料にそのまま使える

入力するのは青いセルだけ。計算セルは保護してあるので、数式を壊す心配もありません。マクロは使っていないため、開くときの警告も出ません。

▶ 中古資産 耐用年数 かんたん判定シートを見る


よくある質問

Q. 4年落ちの中古車が2年になるのはなぜですか?

普通乗用車の法定耐用年数6年を月数(72ヶ月)に直し、経過48ヶ月を当てはめると「(72 − 48)+ 48 × 20% = 33.6ヶ月 = 2.8年」となり、1年未満を切り捨てて2年になるためです。なお計算上は3年10ヶ月(46ヶ月)落ちの時点で2年になります。

Q. 経過期間は取得日まで数えますか、事業供用日まで数えますか?

取得日までです。国税庁も「経過年数は、新築等されてから取得した時までの期間になります」としています。事業の用に供した日ではない点に注意してください。なお、見積法・簡便法を採用できるのは「事業の用に供した事業年度」ですが、これは経過年数の数え方とは別の論点です。

Q. 中古資産を取得した期に法定耐用年数で償却してしまいました。翌期から簡便法に変更できますか?

できません。中古資産の耐用年数は、その資産を事業の用に供した事業年度においてのみ決めることができます。

Q. 簡便法で耐用年数が2年になりました。定率法の償却率は?

2年の定率法償却率は1.000です。期首に事業供用していれば初年度で全額(備忘価額1円を残して)償却できます。期中の取得であれば、使用月数による月割りが必要です。

Q. 中古の建物にも定率法は使えますか?

使えません。平成10年4月1日以後に取得した建物は定額法のみです。建物附属設備と構築物も、平成28年4月1日以後に取得したものは定額法のみとなります。

Q. 個人事業主でも簡便法は使えますか?

使えます。中古資産の耐用年数の取扱いは所得税でも同様です。ただし届出をしていない場合の法定償却方法は、個人は定額法、法人は定率法という違いがあります。

Q. 見積法と簡便法、どちらを使えばよいですか?

条文上は見積法が原則で、簡便法は使用可能期間の見積りが困難なときの方法です。ただし中古資産の残存使用可能期間を客観的に見積もることは実務上難しく、多くの場合は簡便法によることになります。


まとめ

  • 中古資産は法定耐用年数をそのまま使わなくてよい。原則は見積法、実務は簡便法
  • 簡便法は「全部経過なら法定 × 20%」「一部経過なら(法定 − 経過)+ 経過 × 20%」
  • 経過期間は月数で計算する。年で切ると1年ずれる
  • 端数は最後に1回だけ切り捨て。2年未満は2年
  • 資本的支出があるときは、取得価額の50%・再取得価額の50%で3パターンに分かれる
  • 適用できるのは事業供用した事業年度だけ。翌期以降の変更は不可
  • 年数が決まったら、取得時期に応じた償却率表を引く

判定の手順そのものは決まっています。決まっているなら、毎回手で追うのではなくExcelに任せてしまうのが確実です。


免責

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断を行うものではありません。法令・通達の改正や個別事情により取扱いが異なる場合があります。実際の適用にあたっては、税理士等の専門家にご確認ください。

参考

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