飲食店の日次売上・FLコスト管理をExcelで行う方法

飲食店の日次売上・FLコスト管理をExcelで行う方法

飲食店の経営数字は、月次の試算表を待っていては手遅れになります。食材のロス、シフトの入れすぎ、客単価の低下――どれも日々の営業の中で起きて、日々の対応でしか直せない問題だからです。そこで欠かせないのが、日次売上表と、飲食店経営の最重要指標であるFLコストの管理です。

この記事では、Excelで日次売上・FL比率を自動計算する管理表を作る手順を解説します。曜日別・時間帯別の分析まで組み込めば、「どの曜日のシフトを削るか」「ランチとディナーどちらを強化するか」という具体的な打ち手が数字で決められるようになります。

目次

FLコストの基礎知識

FLコストとは、F(Food=食材原価)とL(Labor=人件費)の合計のことです。飲食店の2大コストであり、売上に対する比率(FL比率)が採算の生命線になります。

FL比率(%) =(食材原価 + 人件費)÷ 売上高 × 100

一般的な目安はFL比率60%以下。内訳は原価率30%前後・人件費率30%前後が標準ですが、業態によって配分は変わります(高原価・省人化の焼肉業態、低原価・高人件費の居酒屋業態など)。大切なのは合計で60%を超えない設計にすることと、自店の数字を毎日追うことです。家賃を加えたFLRコスト(目安70%以下)で見る方法もあります。

Excelで日次売上・FL管理表を作る手順

ステップ1:日次売上の入力表を作る

1か月分の日付を縦に並べ、曜日/売上高(ランチ・ディナー別)/客数/客単価/天気・イベントメモの列を作ります。曜日はWEEKDAY関数ではなくTEXT関数で自動表示すると見やすくなります。

曜日 = TEXT(A3,"aaa")
客単価 = IFERROR(売上高/客数,"")

レジ(POS)の日計と合わせて1日1行、閉店後3分で入力できる項目数に絞るのが継続のコツです。

ステップ2:FとLの日次概算を入れる

食材原価は日々の仕入金額を、人件費はその日のシフト時間×時給(社員は月給÷所定日数の日割単価)を入力します。正確な原価は棚卸をしないと出ませんが、日次管理では「仕入ベースの概算原価」で傾向を掴むことが目的なので割り切ります。

日次FL比率 = (仕入額+人件費)/売上高
月累計FL比率 = (SUM($E$3:E3)+SUM($F$3:F3))/SUM($C$3:C3) ←累計で平準化して判断

日次のFL比率は仕入日の偏りで大きくブレるため、判断は月累計の行で行います。累計FL比率が60%ラインを超えたら、条件付き書式で赤表示にします。

ステップ3:月次で棚卸を反映した実原価率を出す

月末に食材の棚卸をして、実際の原価率を確定させます。

実原価率 =(月初棚卸高 + 当月仕入高 − 月末棚卸高)÷ 月間売上高

仕入ベースの概算原価率と実原価率の差が大きい月は、在庫の積み増しかロス(廃棄・まかない・計上漏れ)が起きているサインです。

ステップ4:曜日別・時間帯別の分析表を作る

日次データが溜まったら、AVERAGEIFSで曜日別の平均売上・平均客数を集計します。

=AVERAGEIFS($C:$C, $B:$B, "月")

ランチ・ディナー別の列を分けてあれば時間帯分析も同じ式でできます。「火曜ディナーは売上が平均の6割なのにシフトは他曜日と同じ」といった人件費のかけどころのズレが一目で見つかり、シフト調整・定休日設定・営業時間短縮の判断材料になります。

実務の注意点・つまずきポイント

  • オーナー自身の人件費を入れ忘れない:自分の労働をゼロ円で計算すると、FL比率が良く見えても「オーナーの無償労働で成り立つ店」になります。適正な時給換算で含めましょう。
  • まかない・廃棄の記録:原価のブレ要因を説明できるよう、廃棄メモの列を設けておくと月次の差異分析が楽になります。
  • 社会保険料・交通費も人件費:Lには給与だけでなく法定福利費・交通費・求人費も含めて考えるのが本来の姿です。月次では給与ベース、四半期で全部込みの検証という2段構えが現実的です。
  • 売上はキャッシュレス手数料を引く前の総額で記録:手数料は販管費として別管理にしないと、客単価分析が歪みます。
  • 数字は「昨日の自分」と比較する:業界平均より、自店の先週・先月・前年同月との比較の方が打ち手につながります。メモ列(天気・イベント)が後から効いてきます。

飲食店管理テンプレートをご用意しています

この記事の構成(日次売上→FL自動計算→棚卸反映の実原価率→曜日別・時間帯別分析)を組み込んだExcelテンプレートを販売しています。閉店後に売上・仕入・シフト時間を入力するだけで、月累計FL比率が60%ラインへの警告つきで自動表示されます。飲食店オーナーの方はもちろん、飲食業の顧問先の月次面談資料としてもお使いいただけます。

月次の損益全体の管理は月次損益管理の記事を(関連記事:No.17 月次損益管理)、棚卸の集計方法は実地棚卸の記事をご覧ください(関連記事:No.84 実地棚卸の集計表)。

まとめ

  • FL比率=(食材原価+人件費)÷売上高。目安は60%以下
  • 日次は仕入ベースの概算で傾向を掴み、判断は月累計の行で行う
  • 月末の棚卸で実原価率を確定し、概算との差からロスを発見する
  • 曜日別・時間帯別のAVERAGEIFS分析でシフトのかけどころのズレを見つける
  • オーナー自身の人件費を含めて計算しないと本当の採算は見えない
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