利益が出た期の決算から2か月後、法人税等の納付書の金額を見て青ざめる——小さな会社の「あるある」です。
結論:「利益の3割前後」を納税の目安として毎月取り分け、消費税の預り分は最初から自分のお金と思わない。この2つを仕組み化すれば、納税で資金繰りが崩れることはほぼなくなります。
※税率は会社の規模・所得水準・年度により異なります。正確な見積もりは決算前に顧問税理士等にご確認ください。
目次
納税の全体像:何を・いつ払うのか
小さな会社(株式会社・合同会社)の主な納税は次のとおりです。
| 税金 | タイミング | メモ |
|---|---|---|
| 法人税・地方法人税 | 決算日から2か月以内 | 利益(所得)に課税 |
| 法人住民税 | 同上 | 赤字でも均等割(最低7万円前後)がかかる |
| 法人事業税 | 同上 | 所得に課税 |
| 消費税・地方消費税 | 決算日から2か月以内 | 預かった消費税−支払った消費税 |
| 中間納付(法人税・消費税) | 期の途中 | 前期の納税額が一定額を超えると発生(後述) |
目安:利益の「3割前後」を取り分ける
法人税・住民税・事業税を合わせた実効的な負担は、中小法人ではおおむね利益(所得)の2〜3割台に収まることが多いといわれます。実務的には、毎月の利益見込みの30%を納税用口座に移す運用にしておけば、大きく外しません。
- 利益率が安定している会社:月次利益×30%を毎月移す
- 利益の振れが大きい会社:四半期ごとに「期首からの累計利益×30%−取り分け済み額」を移す
多少取り分けすぎても、決算後に戻せばよいだけです。足りない事故より、余る誤差のほうが100倍ましです。
消費税は「預り金」:最初から分けておく
消費税は自社の負担というより、お客様から預かった税金を後でまとめて納める構造です(簡易課税・2割特例などで実際の納付額は変わります)。
- 売上入金のたびに消費税分(10%なら税抜価格の10%相当)を納税用口座へ移す——が理想
- 難しければ、月次売上の8%程度を機械的に移すだけでも効果は大きい
「預り分を運転資金に使ってしまい、納付時に払えない」が消費税滞納の典型パターンです。
忘れた頃に来る「中間納付」
納税は決算後だけではありません。前期の納税額が一定額を超えると、**期の途中で前払い(中間納付)**が発生します。
- 法人税:前期の法人税額が20万円を超えると、期の途中で予定申告・納付(前期額の約半分)
- 消費税:前期の確定消費税額(国税分)が48万円を超えると年1回、400万円超で年3回、4,800万円超で年11回の中間納付(出典:国税庁タックスアンサー No.6609 中間申告の方法)
「初めて大きく利益が出た翌期」は、確定納付と中間納付が同じ年度に重なるため、最も資金繰りを崩しやすいタイミングです。資金繰り表に必ず織り込んでください(作り方は)。
納税スケジュール表を作る(年1回)
決算が締まったら、次の1年の納税予定を1枚にまとめます。
| 月 | 納税イベント | 金額の根拠 |
|---|---|---|
| 決算2か月後 | 法人税等・消費税の確定納付 | 当期の試算 |
| 期の中間 | 法人税・消費税の中間納付 | 前期実績の約1/2(消費税は回数に注意) |
| 1月・7月 | 源泉所得税(納期の特例の場合) | 半年分の給与の源泉税 |
| 5〜6月 | 労働保険の年度更新(従業員がいる場合) | 前年の賃金総額 |
これを資金繰り表に転記すれば、納税で驚くことはなくなります。
まとめ
- 目安は「利益の3割前後」。毎月、納税用口座へ機械的に取り分ける
- 消費税の預り分は最初から自分のお金と思わない
- 前期に納税額が大きいと中間納付が発生。利益急増の翌期が最も危ない
- 年1回、納税スケジュール表を作って資金繰り表に織り込む
本記事は一般的な税務情報の提供を目的としており、正確な納税額の見積もりは顧問税理士等にご確認ください。
