【2026年7月19日更新】防衛特別法人税(令和8年4月1日以後開始事業年度から適用)を決算関連イベントに追記しました。
法人を設立して1年目は、「次に何の手続きがいつあるのか」が見えないことが最大の不安です。源泉所得税の納付、労働保険、年末調整、償却資産申告、そして決算・申告――どれも期限があり、知らなかったでは済まされないペナルティ(不納付加算税・延滞税など)が付いてきます。
この記事では、設立1期目の法人に発生する税務・労務イベントを時系列で整理し、設立月と決算月を入力すれば自社専用の年間カレンダーが自動生成されるExcelの作り方を解説します。期限や制度の詳細は改正されることがあるため、実際の手続き時には国税庁・各機関の最新情報をご確認ください。
1期目に発生するイベントの全体像
毎月・半年ごとのイベント
- 源泉所得税の納付:原則は徴収月の翌月10日まで。納期の特例を申請していれば1〜6月分を7月10日、7〜12月分を翌年1月20日までの年2回にまとめられます(常時10人未満の場合)
- 住民税の特別徴収:従業員の住民税を給与から天引きして翌月10日まで納付(こちらも納期の特例あり)
- 社会保険料の納付:毎月末(口座振替が一般的)
年単位の定例イベント
- 労働保険の年度更新:6月1日〜7月10日(従業員を雇用している場合)
- 社会保険の算定基礎届:7月1日〜7月10日(関連記事:No.69 算定基礎届の作成)
- 年末調整:11〜12月に準備、12月給与で精算(関連記事:No.7 年末調整の検算)
- 法定調書合計表・給与支払報告書:翌年1月31日まで
- 償却資産申告:翌年1月31日まで(市区町村へ)
決算関連のイベント
- 決算日:定款で定めた事業年度の末日
- 法人税・消費税・地方税の申告納付:決算日から2か月以内
- 防衛特別法人税:令和8年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税・地方法人税とあわせて申告・納付が必要(基準法人税額に対する付加税。基礎控除年500万円があり、中小法人の多くは当面納付が生じにくい設計だが申告書の様式・納付書の税目番号「030」等の実務対応は必要)
- 1期目は中間申告が原則ない:前期実績がないため法人税の予定申告はなし。2期目は前期の法人税額が20万円超なら中間申告が発生します
1期目ならではの選択論点
カレンダーに落とす前に、1期目のうちに判断すべき論点を押さえておきましょう。いずれも期限を過ぎると選択肢が消えるものです。
- 青色申告の承認申請:設立から3か月以内と最初の事業年度終了日のいずれか早い日の前日まで。欠損金の繰越に直結する最重要届出(関連記事:No.155 法人設立後の届出チェックリスト)
- 源泉所得税の納期の特例:申請の翌月支払分から適用。毎月納付の負担を大きく減らせます
- 役員報酬の決定:期首(設立日)から3か月以内に決めないと定期同額給与として損金にできない部分が出ます(関連記事:No.9 役員報酬シミュレーション)
- 消費税・インボイスの登録判断:取引先構成によっては1期目からの登録が必要になります
Excelで自社専用カレンダーを作る手順
ステップ1:イベントマスタを作る
別シートに「イベント名/基準(暦 or 決算月基準)/月/日/該当条件」の列でイベントを一覧化します。暦基準(年末調整・償却資産申告など)と決算月基準(申告納付など)を区別するのがポイントです。
ステップ2:決算月基準の期限を自動計算する
申告期限 =EOMONTH(DATE(年,決算月,1),2)
EOMONTH関数で「決算月の2か月後の月末」が計算できます(関連記事:No.45 EOMONTHによる期限計算)。土日祝と重なる場合の翌営業日処理は =WORKDAY(期限+1,-1,祝日リスト) ではなく、期限日以降の最初の平日を求める =WORKDAY(期限-1,1,祝日リスト) を使います。
ステップ3:月別カレンダーに展開する
設立月から12か月分の月別シートに、該当月のイベントをFILTER関数(またはIF+COUNTIFS)で抽出して表示します。従業員の有無・納期特例の有無をプルダウンで切り替えると、該当しないイベントが自動で消える設計にします。
実務の注意点・つまずきポイント
- 源泉の納付漏れは1日でも不納付加算税の対象:1期目で最も多い事故です。納期特例の「適用開始月」のズレにも注意
- 納期特例は申請月の翌月から:申請前に支払った給与の源泉は原則どおり翌月10日納付です
- 設立1期目は事業年度が12か月未満のことが多い:減価償却の月数按分や均等割の月割にも影響します
- 償却資産申告は赤字でも必要:申告対象資産がなくても自治体から申告書が届いたら対応が必要です
- 2期目の消費税判定は特定期間に注意:1期目上半期の売上・給与が1,000万円超だと2期目から課税になる場合があります
年間税務カレンダーテンプレートのご案内
設立月・決算月・従業員の有無を入力するだけで、1期目の全イベントが月別に自動展開される「法人1期目税務カレンダーExcel」を用意しています。納期特例の有無での表示切替、期限の翌営業日補正にも対応。税理士事務所では新設顧問先への説明資料としてもお使いいただけます。
まとめ
- 1期目のイベントは毎月型(源泉・住民税)、暦型(年度更新・年末調整・法定調書)、決算型(申告納付)の3系統で整理する
- 青色申請・納期特例・役員報酬は期限を過ぎると選択肢が消える最優先論点
- Excelはイベントマスタ+EOMONTHで期限を自動計算し、月別に展開する
- 1期目は中間申告なし、2期目からの発生に備える
- 期限・制度は改正があるため手続き時に最新情報を確認する

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