Excelの関数は500個近くありますが、経理の実務で日常的に使うのはせいぜい10個です。逆に言えば、この10個を実例ごと覚えれば、経理のExcel作業の9割はカバーできます。
この記事では、使用頻度と実務インパクトで厳選した10個の関数を、すべて経理の実例つきで紹介します。新人教育の教材としてもそのまま使える構成です。(関連記事:No.35 新人教育のExcel研修メニュー)
目次
集計の3兄弟
① SUM:合計の基本
=SUM(C2:C100) ←経費明細の合計
ショートカット: Alt + Shift + =(オートSUM)
② SUMIFS:条件付き合計(経理の主戦力)
=SUMIFS(金額列, 科目列, "旅費交通費", 月列, "4月") ←科目×月の集計
月次推移表・部門別集計・補助科目集計はすべてこれ1つ。使い込み方は専用記事で詳説しています。(関連記事:No.40 SUMIFSで集計を自動化)
③ COUNTIF/COUNTIFS:件数を数える・重複を見つける
=COUNTIF(請求書番号列, A2)>1 ←TRUEなら二重計上の疑い
判定と参照
④ IF(IFS):条件分岐
=IF(残高セル<0,"要確認","") ←マイナス残高の検知
=IFS(経過日数<=30,"正常",経過日数<=60,"要注意",TRUE,"滞留")
⑤ XLOOKUP:マスタ参照の決定版
=XLOOKUP(科目コード, マスタ!コード列, マスタ!科目名列, "未登録")
科目マスタ・税額表・単価表——「表から引く」作業はすべてこれ。(関連記事:No.37 XLOOKUP完全ガイド)
日付と丸め:経理特有の必須スキル
⑥ EOMONTH:月末・期限の計算
=EOMONTH(請求日,1) ←翌月末(月末締め翌月末払いの支払期日)
=EOMONTH(決算日,2) ←申告期限
支払サイト・申告期限・納期限の計算に毎日使います。(関連記事:No.45 EOMONTHで期限管理)
⑦ ROUNDDOWN:端数の切り捨て
=ROUNDDOWN(税込金額*10/110,0) ←消費税の計算は切捨てが基本
表示形式で丸めるのは厳禁です。見た目は整数でも中身に小数が残り、集計が1円ズレます。税金・保険料の計算では、切捨て・切上げ・四捨五入のルールが制度ごとに決まっているため、ROUNDDOWN/ROUNDUP/ROUNDを意図して使い分けます。
仕上げの3つ
⑧ IFERROR:エラー表示を整える
=IFERROR(実績/予算,"") ←予算ゼロの月の#DIV/0!を空欄に
⑨ TEXT:日付・数値を文字列に整形
=TEXT(A2,"yyyy/mm/dd") ←会計ソフト取込用の日付形式に統一
="【"&TEXT(月初日,"m月")&"】報告書" ←タイトルの自動生成
⑩ FILTER:条件に合う行の抽出(新世代)
=FILTER(明細範囲, (科目列="交際費")*(金額列>=10000), "該当なし")
←1万円以上の交際費だけを自動抽出
未入金一覧・要確認リストが「常に最新の状態で自動生成される」感覚は、一度使うと戻れません。(関連記事:No.97 FILTER・UNIQUEで抽出を自動化)
習得の順序とコツ
- 覚える順序は①→②→⑤→⑥→⑦が最短ルート(この5つで実務の7割)
- 「関数を覚える」のではなく「自分の業務の集計表を1つ作る」のが最速の練習
- 長い数式より、作業列を分けた読みやすい数式が実務では正義(関連記事:No.145 LET関数で数式を整理)
関連テンプレートのご案内
当ブログのテンプレートは、この10関数を中心に「読める・直せる・壊れない」設計で作られています。実務での使われ方は各テンプレートの数式でそのまま学べます。
まとめ
- 経理のExcelはSUM・SUMIFS・COUNTIF・IF・XLOOKUP・EOMONTH・ROUNDDOWN・IFERROR・TEXT・FILTERの10個で9割カバー
- 端数は表示形式ではなくROUND系関数で処理する——経理の絶対ルール
- 覚え方は「自分の業務の集計表を1つ作る」が最速

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