「部門別かつ月別」「補助科目別かつ取引先別」——経理の集計はほぼ常に複数条件です。この複数条件集計を1つの数式で片付けるのがSUMIFSで、月次の定型帳票づくりでは事実上の主役です。
この記事では、SUMIFSの基本から、経理で頻出の「日付範囲」「ワイルドカード」の条件指定、月次推移マトリクスの設計パターンまでを解説します。
目次
基本構文:合計範囲が先頭に来る
=SUMIFS(合計範囲, 条件範囲1, 条件1, 条件範囲2, 条件2, …)
例 =SUMIFS(金額列, 部門列, "営業部", 科目列, "旅費交通費")
単一条件のSUMIFは「合計範囲が最後」ですが、SUMIFSは「合計範囲が最初」。この引数順の違いが最頻出のつまずきです。条件が1つでも常にSUMIFSで書くと決めてしまえば、混乱はなくなります。
経理で頻出の条件指定3パターン
① 日付の範囲指定(「4月分だけ」)
=SUMIFS(金額列, 日付列, ">="&DATE(2026,4,1), 日付列, "<="&EOMONTH(DATE(2026,4,1),0))
比較演算子はダブルクォートで囲み、セル参照や関数とは&で連結——この形を1つ覚えれば、期間集計はすべて応用できます。月初セルを参照させれば、横にコピーするだけで12ヶ月分が完成します。
② ワイルドカード(「〇〇を含む」)
=SUMIFS(金額列, 摘要列, "*電気*") ←摘要に「電気」を含む明細の合計
=SUMIFS(金額列, 補助科目列, "A支店*") ←「A支店」で始まる補助科目
③ 除外条件(「〇〇以外」)
=SUMIFS(金額列, 科目列, "<>仮払金") ←仮払金を除いた合計
設計パターン:月次推移マトリクスの正しい作り方
行に科目、列に月を並べた推移表は、次の形で「1つの数式を全セルにコピーするだけ」にするのが設計の正解です。
=SUMIFS(データ!金額列, データ!科目列, $A3, データ!月列, C$2)
(行見出しは$A3で列固定、列見出しはC$2で行固定——複合参照が鍵)
- 元データに「月」の補助列(=TEXT(日付,”yyyy/mm”)など)を作っておくと、日付範囲指定より数式が単純になる
- 集計表とデータは必ずシートを分ける(関連記事:No.17 月次損益管理表の設計)
- 複数科目をまとめたい行(「その他経費」等)は、科目対応表を作ってSUMIFSの条件側を対応表参照にする
つまずきポイントと対処
- 結果が0になる:条件の表記ゆれが原因のことが多い(全角半角・前後の空白)。TRIM関数での整形か、プルダウン入力での統一が根本対策
- 範囲の行数違い:合計範囲と条件範囲の行数が違うとエラー。列全体(A:A)同士で揃えると安全(超大量データでは範囲指定で高速化)
- 数値が文字列になっている:CSV取込後の「見た目は数字、実は文字列」はSUMIFSで無視される。VALUE関数か区切り位置で数値化(関連記事:No.36 仕訳データの整形)
- 平均・件数が欲しいときは同じ書き方でAVERAGEIFS・COUNTIFSに置き換えるだけ
関連テンプレートのご案内
月次損益管理・部門別損益・予実管理の各テンプレートは、この記事の「複合参照×SUMIFS」パターンで設計されています。数式を開いて、そのまま実務の教材としてもご活用ください。
まとめ
- SUMIFSは合計範囲が先頭。条件1つでもSUMIFSで統一すると混乱しない
- 日付範囲は「”>=”&DATE(…)」の連結形、部分一致は*ワイルドカード
- 推移表は複合参照($A3とC$2)で「1つの数式をコピーするだけ」に設計する
- 結果がおかしいときは表記ゆれ・文字列数値・範囲の不一致の3つを疑う

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