経理のためのXLOOKUP完全ガイド【VLOOKUPからの乗り換え方】

経理のためのXLOOKUP完全ガイド【VLOOKUPからの乗り換え方】

経理のExcelで最も使う参照関数といえば長らくVLOOKUPでしたが、後継のXLOOKUPは「左側の列を参照できない」「列番号がズレる」「初期設定が近似一致」というVLOOKUPの三大不満をすべて解消しています。乗り換えない理由はほぼありません。

この記事では、経理実務の具体例(科目マスタ参照・税額表・等級表)でXLOOKUPの使い方を解説し、VLOOKUPからの書き換え対応表まで用意しました。

目次

基本構文:覚えるのは3つの引数だけ

=XLOOKUP(検索値, 検索範囲, 戻り範囲, [見つからない場合], [一致モード], [検索モード])

必須は最初の3つだけです。VLOOKUPと違い「表全体+列番号」ではなく「探す列」と「返す列」を直接指定するため、列の挿入・削除で参照がズレる事故が構造的に起きません

経理実務の使用例4パターン

① 科目マスタの参照(基本形)

=XLOOKUP(A2, 科目マスタ!コード列, 科目マスタ!科目名列, "未登録")

第4引数「見つからない場合」に”未登録”を指定できるので、IFERRORで包む必要がなくなりました。マスタにないコードが混ざったことが一目でわかります。

② 左側参照:コードが右・名称が左の表でもOK

VLOOKUPでは検索列より左の列を返せず、作業列やINDEX+MATCHで回避していました。XLOOKUPは検索範囲と戻り範囲が独立しているため、表のどの列からどの列へでも参照できます。他人が作った表の列順を組み替える必要がなくなります。

③ 近似一致:税額表・保険料等級表の参照

=XLOOKUP(社保控除後給与, 税額表!下限列, 税額表!税額列, , -1)
(一致モード -1 =「以下で最も近い値」=速算表・等級表の定番)

「◯円以上◯円未満」形式の表(源泉税額表・標準報酬月額の等級表・給与所得控除の速算表)は、一致モード-1で下限列を検索するのが定石です。VLOOKUPの近似一致(TRUE)と違い、意図的に指定するので事故が減ります。(関連記事:No.72 標準報酬月額の自動判定/No.7 年末調整の検算

④ 複数列をまとめて返す(スピル)

=XLOOKUP(顧問先名, マスタ!名称列, マスタ!B2:E100)
→ 決算月・消費税区分・担当者・報酬の4列が一度にスピルで返る

戻り範囲を複数列にすると、1つの数式で複数項目を取得できます。顧問先管理表(関連記事:No.2 9)から期限管理表へ情報を引くような場面で、数式の本数が激減します。

VLOOKUPからの書き換え対応表

VLOOKUPの書き方XLOOKUPでの書き方
=VLOOKUP(A2,マスタ!A:C,3,FALSE)=XLOOKUP(A2,マスタ!A:A,マスタ!C:C)
=IFERROR(VLOOKUP(…),””)=XLOOKUP(…, , ,””) ←第4引数で完結
=VLOOKUP(A2,表,2,TRUE) ※近似一致=XLOOKUP(A2,下限列,戻り列, ,-1)
主要パターンの書き換え

注意点

  • XLOOKUPはExcel 2021以降・Microsoft 365で使用可。古いExcelの相手に配布するファイルではVLOOKUPを残す判断も必要
  • 検索範囲と戻り範囲の行数が違うと#VALUE!になる——列全体(A:A)同士で揃えるのが安全
  • 複数条件の検索は「検索値を&で連結した作業列」またはSUMIFS系で対応(関連記事:No.40 SUMIFSで複数条件集計

関連テンプレートのご案内

当ブログのExcelテンプレートは、マスタ参照にXLOOKUP(互換版はVLOOKUP)を採用し、この記事の設計思想で作られています。科目マスタ・税額表参照の実例は各テンプレートでご確認いただけます。

まとめ

  • XLOOKUPは「探す列」と「返す列」を直接指定。列ズレ事故が構造的に起きない
  • 第4引数で「見つからない場合」を指定でき、IFERROR包みが不要になる
  • 一致モード-1が税額表・等級表など「以上未満」表の定石
  • 古いExcelユーザーへの配布ファイルだけはVLOOKUP互換を検討する
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