記帳代行の原価は、ほぼ「入力時間」です。通帳を見ながら1件ずつ手で打つ事務所と、明細CSVを整形して一括取込する事務所では、同じ顧問先でも作業時間が3倍違います。記帳代行の粗利は、仕訳データの整形技術で決まると言っても過言ではありません。
この記事では、銀行明細・カード明細のCSVをExcelで整形し、会計ソフトに一括インポートするまでの実務テクニックを解説します。核心は「摘要変換テーブル」の作り込みです。
全体の流れ:5ステップ
- 明細データの入手(ネットバンキングCSV・カード明細CSV)
- クレンジング(日付形式・金額・不要行の整理)
- 摘要から科目を自動判定(変換テーブル)
- 会計ソフトの取込形式に組み替え
- インポート→エラー分だけ手直し
1〜2回目は仕組み作りに時間がかかりますが、3回目以降は「貼り付けて、確認して、取り込む」だけ。やればやるほど速くなるのがこの方式の特徴です。
ステップ2:クレンジングの定番処理
日付の正規化 =DATEVALUE(TEXT(元日付,"yyyy/mm/dd")) ←文字列日付を日付型に
金額のカンマ・円マーク除去 =VALUE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(元金額,",",""),"円",""))
入出金が2列に分かれている場合 =IF(出金額>0,出金額,-入金額) で1列に統一
銀行によってCSVのクセ(ヘッダー行数・日付形式・全角半角)は違いますが、同じ銀行なら毎回同じです。銀行別に「クレンジング済みシート」の型を作って使い回すのがコツです。
ステップ3:摘要変換テーブルが心臓部
「摘要に含まれるキーワード→勘定科目」の対応表を作り、明細の摘要から科目を自動判定させます。
| キーワード(部分一致) | 科目 | 補助・メモ |
|---|---|---|
| デンキ/電力 | 水道光熱費 | — |
| NTT/ソフトバンク | 通信費 | — |
| カ)〇〇商事 | 買掛金 | 仕入先 |
| フリコミテスウリョウ | 支払手数料 | — |
| ホケン | 保険料 | 要確認フラグ(生保・損保の区別) |
科目の自動判定(部分一致検索):
=IFERROR(INDEX(変換!科目列, MATCH(TRUE, ISNUMBER(SEARCH(変換!キーワード列, 摘要セル)), 0)), "★未判定")
ポイントは「★未判定」を返させることです。判定できなかった明細だけ人が科目を付け、その摘要をテーブルに追加する——この繰り返しで、月を追うごとに自動判定率が上がっていきます(3ヶ月で9割前後が目安)。この変換テーブルこそ、事務所に蓄積される資産です。
ステップ4:ソフト別の取込形式に組み替える
弥生会計・freee・マネーフォワードなど、各ソフトにCSVインポートの指定形式があります(列の並び・日付形式・税区分コードなどがそれぞれ異なる)。整形シートの隣に「出力シート」を作り、指定形式の列並びに数式で参照させる形にしておけば、コピー→値貼り付け→CSV保存で取込ファイルが完成します。ソフト別の形式の詳細は別記事で解説します。(関連記事:No.43 銀行明細CSVの会計ソフト取込【弥生・freee・MF対応】)
さらに時短したい事務所へ
- 毎月同じ整形を繰り返すなら、パワークエリで手順を記録して更新ボタン1つに(関連記事:No.98 パワークエリで取込を自動化)
- 現金領収書の束は、日付・金額・摘要だけの簡易入力シート→同じ変換テーブルで科目判定、の流れに乗せる
- 取込後の検算:件数と合計金額を「明細CSV側」と「取込結果側」で突合する検算セルを必ず置く
仕訳変換ツールのご案内
クレンジングの型・摘要変換テーブル・主要ソフト向け出力シート・件数金額の検算までを1つのブックにまとめた仕訳データ変換ツール(Excel)を用意しています。記帳代行の入力時間を半分にする、事務所向けの実戦ツールです。
まとめ
- 記帳代行の原価は入力時間。CSV一括取込への切り替えで作業時間は1/3になり得る
- 銀行別のクレンジングの型と、摘要変換テーブルを「育てる」運用が核心
- 未判定明細だけ人が処理し、テーブルに追加——自動判定率は月を追うごとに上がる
- 取込後は件数・合計金額の突合検算をルール化する

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