「月次決算をやるべき」とはよく聞くが、一人でやることが山積みの小さな会社に、毎月決算を組む余裕はあるのか。
結論:月次決算を「正式に組む」必要はないが、毎月5つの数字を確認する習慣は不可欠です。完璧な月次決算書より、ざっくりでも継続できる仕組みのほうが、経営判断の精度を上げます。
目次
「月次決算」に求められているものを整理する
月次決算を「やるべき」と言われる理由は、主に3つです。
- 今の儲け方が分かる(利益が出ているか・粗利率は落ちていないか)
- 資金不足を事前に察知できる(現金残高・売掛金の動き)
- 年度末の決算がスムーズになる(月ごとに数字を固めておけば、決算で慌てない)
この3つは、正式な試算表がなくても達成できます。
小さな会社の現実的な「月次数字管理」
毎月、以下の5項目を会計ソフトと通帳から拾うだけで、月次決算の目的はほぼ果たせます。
| 確認項目 | 何を見るか | 時間の目安 |
|---|---|---|
| 現金残高 | 全口座の合計+固定費の何か月分か | 2分 |
| 売掛金 | 月商との比率・期日超過の有無 | 3分 |
| 粗利 | 売上−変動費。前月・前年比 | 5分 |
| 固定費 | 合計額に変化がないか | 3分 |
| 納税用の取り分け | 利益見込みの30%を移す | 2分 |
合計15分。詳しいチェック方法は一人会社が毎月見るべき数字5つにまとめています。
月次決算を「正式に組む」べき会社
以下に当てはまる場合は、会計ソフトで月次の試算表をきちんと締める価値があります。
- 融資を受けている・検討中:金融機関が試算表の提出を求める場合がある
- 複数事業・複数拠点がある:部門別収益を月次で把握しないと管理できない
- 外部の株主や共同経営者がいる:数字の共有が必要
- 売上規模が大きく、納税の見積もり誤差がリスクになる:税理士が月次を求める
一人会社・スモールビジネスの多くは、こうした要件がないため、上述の「5項目チェック」で十分です。
会計ソフトを使っている場合の効率的な運用
freee・マネーフォワード等のクラウド会計を使っているなら:
- 銀行・カードの自動取込を設定する:入出金の記帳はほぼ自動になる
- 月1回、勘定科目の確認・修正:自動仕訳の誤りを直す(20〜30分)
- 損益レポートを開いて粗利と費用の概況を確認:これで月次把握は完了
「毎月帳簿を締める」のは税理士に任せるか、自分でやる場合でも月1回のルーティンに落とし込めば十分です。
月次より重要な習慣:資金繰り表の更新
月次決算書より実務的に重要なのは、資金繰り表を月1回更新することです。試算表は過去の記録ですが、資金繰り表は未来の現金予測です。
「来月・再来月の口座残高が固定費の何か月分か」を毎月把握していれば、資金ショートの予兆を2〜3か月前に捉えられます(資金繰り表の作り方)。
まとめ
- 月次決算を「正式に組む」必要は一人会社には通常ない
- 毎月15分の5項目チェックで月次決算の目的はほぼ達成できる
- 融資・外部株主・複数事業がある場合は試算表を月次で締める価値がある
- 試算表より資金繰り表の月次更新のほうが、現金不足の予防に効く
