社宅を導入したら、入居者から毎月いくら受け取るかを決める必要があります。少なすぎると差額が給与課税され、多すぎると社宅のメリットが減ります。
結論:必要な徴収額は「入居者が役員か使用人か」×「物件が小規模な住宅かどうか」の組み合わせで決まります。 世間でいわれる「家賃の50%」が当てはまるのは限られたケースだけです。
※[令和7年4月1日現在法令等]に基づく国税庁タックスアンサー(No.2600・No.2597)を参照しています。
目次
まず物件と入居者を分類する
| 分類軸 | 区分 |
|---|---|
| 入居者 | 役員 / 使用人(従業員) |
| 物件 | 小規模な住宅 / 小規模以外 / 豪華社宅 |
小規模な住宅とは、法定耐用年数30年以下の建物で床面積132㎡以下、30年超で99㎡以下の住宅です(RC造マンションなら99㎡以下が目安。詳細は小規模住宅・豪華社宅とは?床面積による判定基準を整理)。
ケース別:給与課税されない徴収額
| ケース | 課税されないライン |
|---|---|
| 使用人(物件問わず) | 賃貸料相当額の50%以上 |
| 役員 × 小規模な住宅 | 賃貸料相当額(算式の全額)以上 |
| 役員 × 小規模以外(自社所有) | (建物の課税標準額×12%※+敷地の課税標準額×6%)×1/12 以上 ※耐用年数30年超は10% |
| 役員 × 小規模以外(借り上げ) | 「支払家賃の50%」と「自社所有の算式の額」の多いほう以上 |
| 役員 × 豪華社宅 | 通常支払うべき使用料(実勢家賃相当) |
賃貸料相当額の算式(小規模な住宅)は次のとおりです。
建物の固定資産税課税標準額×0.2% + 12円×床面積(㎡)÷3.3 + 敷地の固定資産税課税標準額×0.22%(月額)
計算式の詳しい解説は賃貸料相当額とは?計算方法と注意点へ。
計算例:同じ物件でも役員と使用人でラインが違う
条件:建物の課税標準額1,000万円/床面積66㎡/敷地の課税標準額600万円/実勢家賃15万円
- 賃貸料相当額 = 20,000円 + 240円 + 13,200円 = 33,440円
| 入居者 | 必要徴収額(月) | 実勢家賃15万円との比較 |
|---|---|---|
| 役員 | 33,440円以上 | 家賃の約22% |
| 使用人 | 16,720円以上 | 家賃の約11% |
「家賃の50%(75,000円)」を徴収する設計にしてしまうと、課税はされないものの、本来33,440円で済むところを4万円以上多く本人負担させていることになります。
「50%ルール」の正しい理解
「50%」という数字は3つの別々の場面で登場するため、混同に注意してください。
- 使用人の50%:賃貸料相当額の50%以上ならOK(実勢家賃の50%ではない)
- 役員×小規模以外×借り上げの50%:会社が支払う家賃の50%と算式の額の多いほう
- 「実勢家賃の50%なら絶対安全」という俗説:結果的に課税ラインは超えることが多いものの、最適額より取りすぎになりがち
実務の進め方
- 物件の固定資産税課税標準額を入手する(調べ方は)
- 床面積と建物構造から小規模住宅かどうか判定する(判定基準は)
- ケース別の算式で必要徴収額を計算する
- 端数は切り上げて少し余裕を持った金額に設定し、計算根拠を社宅管理簿に残す
- 課税標準額は年度で変わるため、評価替えのタイミングで再計算する
まとめ
- 徴収額のラインは「役員か使用人か」×「小規模住宅かどうか」で決まる
- 役員×小規模住宅なら算式の全額、使用人なら算式の50%が最低ライン
- 「実勢家賃の50%」は最適額ではないことが多い
- 計算根拠(課税標準額・床面積・判定)を必ず記録しておく
本記事は一般的な税務情報の提供を目的としており、個別の判断は顧問税理士等にご確認ください。
