法人社宅の賃貸料相当額とは?計算方法と注意点

法人社宅の賃貸料相当額とは?計算方法と注意点

社宅を導入するとき、最初につまずくのが「役員や従業員からいくら家賃を取ればいいのか」という問題です。

結論からいうと、その基準になるのが賃貸料相当額です。税務上、社宅の入居者から賃貸料相当額(使用人の場合はその50%以上)を受け取っていれば、社宅の貸与は給与として課税されません。逆に、これを下回ると差額が給与扱いになり、所得税の課税対象になります。

この記事では、賃貸料相当額の計算式と計算例、役員と使用人での扱いの違い、実務上の注意点を整理します。

※本記事は[令和7年4月1日現在法令等]に基づく国税庁タックスアンサーを参照しています。

目次

賃貸料相当額とは

賃貸料相当額とは、「税務上、最低限この金額を家賃として受け取っていれば給与課税されない」という基準額です。

ポイントは、世間相場の家賃(実勢家賃)とはまったく別の計算で決まることです。固定資産税の課税標準額をベースに計算するため、実勢家賃よりかなり低い金額になるケースが多いのが特徴です。ここが社宅制度のメリットの源泉になっています(詳しくは役員社宅で節税できる仕組みへ)。

計算式(小規模な住宅の場合)

一般的な広さの社宅(小規模な住宅)の場合、賃貸料相当額は次の3つの合計額(月額)です。

要素 計算式
(1) 建物分 その年度の建物の固定資産税の課税標準額 × 0.2%
(2) 床面積分 12円 × 建物の総床面積(㎡) ÷ 3.3㎡
(3) 敷地分 その年度の敷地の固定資産税の課税標準額 × 0.22%

出典:国税庁タックスアンサー No.2600 役員に社宅などを貸したとき

「小規模な住宅」とは、法定耐用年数30年以下の建物なら床面積132㎡以下、30年超なら99㎡以下の住宅をいいます。マンション(鉄筋コンクリート造)なら99㎡以下が目安です。判定の詳細は小規模住宅・豪華社宅の判定基準で解説しています。

計算例

次の条件で計算してみます。

  • 建物の固定資産税課税標準額:1,000万円
  • 床面積:66㎡
  • 敷地の固定資産税課税標準額:600万円
要素 計算 金額
(1) 建物分 1,000万円 × 0.2% 20,000円
(2) 床面積分 12円 × 66 ÷ 3.3 240円
(3) 敷地分 600万円 × 0.22% 13,200円
合計(月額) 33,440円

実勢家賃が月15万円の物件でも、賃貸料相当額は3万円台ということが起こり得ます。この差が社宅制度の核心です。

なお、会社所有の社宅だけでなく、他から借り上げて貸与する場合も同じ算式で計算します(役員の場合は後述の例外あり)。借り上げ社宅でも貸主等から固定資産税の課税標準額を確認する必要があります。調べ方は固定資産税課税標準額の調べ方をご覧ください。

役員と使用人で「いくら受け取るべきか」が違う

賃貸料相当額の計算式は共通ですが、課税されないために受け取るべき金額が異なります。

入居者 給与課税されないライン
役員 賃貸料相当額以上を受け取る
使用人(従業員) 賃貸料相当額の50%以上を受け取る

先ほどの例(賃貸料相当額33,440円)なら、役員は33,440円以上、従業員は16,720円以上を受け取っていれば課税されません。

受け取る家賃がラインを下回った場合は、賃貸料相当額との差額が給与として課税されます。無償貸与なら賃貸料相当額の全額が給与扱いです。

出典:国税庁タックスアンサー No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき

小規模な住宅でない場合・豪華社宅

役員に貸与する社宅が小規模な住宅に該当しない場合は、計算式が変わります。

  • 自社所有:(建物の課税標準額×12%(耐用年数30年超は10%)+敷地の課税標準額×6%)×1/12
  • 借り上げ:会社が支払う家賃の50%と、上記算式の額のいずれか多いほう

また、床面積240㎡超などのいわゆる豪華社宅は、算式が使えず「通常支払うべき使用料(実勢家賃)」がそのまま賃貸料相当額になります。社宅メリットはほぼなくなると考えてください。

実務上の注意点

  • 課税標準額は「評価額」とは別物。固定資産税の課税明細書で「課税標準額」の欄を確認する(土地は住宅用地特例で評価額より小さくなっていることが多い)
  • 現金で支給する住宅手当や、本人契約の家賃を会社が負担する形は社宅扱いにならず、全額が給与として課税される。契約は必ず法人名義に
  • 新築等で課税標準額がまだ定められていない場合は、状況が類似する住宅の課税標準額に比準して計算する
  • 課税標準額は年度ごとの数字を使う。評価替え(3年ごと)の年は特に再計算を

まとめ

  • 賃貸料相当額=給与課税されないための最低徴収ライン。実勢家賃よりかなり低くなることが多い
  • 小規模な住宅は「建物×0.2%+12円×床面積/3.3+敷地×0.22%」の月額合計
  • 役員は全額以上、使用人は50%以上の受け取りで課税なし
  • 計算には固定資産税の課税標準額が必須。入手方法を先に確認しておく

本記事は一般的な税務情報の提供を目的としており、個別の税務判断は顧問税理士等にご確認ください。


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