一人会社は、社長が営業も実務も経理も兼ねています。だからこそ「数字を見るのは決算のときだけ」になりがちです。ですが、毎月ざっくりでも数字を確認しておかないと、利益は出ているのに資金が足りない(黒字倒産)といった事態に気づけません。
この記事では、一人会社・小規模法人が毎月確認すべき数字を6つに絞って整理します。会計に詳しくなくても、5〜10分で見られる項目だけに絞っています。
本記事は一般的な解説です。具体的な経理処理・税務判断は顧問税理士等にご確認ください。
なぜ「月次」で数字を見るのか
決算は年に1回ですが、お金は毎日動きます。年1回しか数字を見ないと、
- 資金が減っているのに気づくのが遅れる
- 納税・社会保険料の支払いに備えられず、まとまった出費でショートする
- 「儲かっているか」を感覚でしか判断できない
といった問題が起きます。月次で数字を見る目的は、手元資金を切らさないことと、早めに手を打てるようにすることの2つです。
毎月確認すべき6つの数字
① 現預金の残高
最重要の数字です。会社の通帳・現金を合計した「いま使えるお金」がいくらか。利益ではなく現金を見ます。先月末と比べて増えたか減ったか、その理由も合わせて確認します。
② 今月の入金(売上の回収)
売上が立っても、入金されるまでは使えません。「売上」と「入金」は別物です。請求済みでまだ入金されていない金額(売掛金)がどれだけあるか、入金予定はいつかを把握します。
③ 固定費(毎月必ず出ていくお金)
家賃、通信費、サブスク、外注の定額費用など、売上がゼロでも出ていくお金の合計です。固定費が「最低いくら稼げば赤字にならないか(損益分岐点)」の土台になります。
④ 役員報酬+社会保険料+税の「備え」
一人会社で見落としやすいのがここです。
- 役員報酬は毎月固定で出ていく(期首に決めて1年固定)。
- それに伴う社会保険料(会社負担+本人負担)も毎月かかる。報酬月額の合計に対して、会社+本人で約30%が目安。
- さらに、法人税・消費税・源泉所得税などは、後からまとめて支払うタイミングが来ます。
これらは「今は手元にあるが、後で必ず出ていくお金」です。毎月、納税・社保用に少しずつ別口座へ取り分けておくと、支払い月に慌てません。役員報酬と社会保険料がいくらの固定費になっているかは、報酬を決めた時点で正確に把握しておきます(考え方は「役員報酬と社会保険料の関係」)。
⑤ ざっくりの利益
「今月の入金 −(固定費+変動費+役員報酬+社保)」で、おおまかな利益感をつかみます。1円単位の正確さより、黒字基調か赤字基調かの方向感が大事です。
⑥ 数か月先の資金繰り見通し
最後に、今後2〜3か月の入金予定と支払予定を並べ、月末の現預金残高がどう推移するかを見ます。納税や賞与など大きな支払いが控えている月は、事前に分かれば対策できます(具体的な作り方は「小規模法人の資金繰り表の作り方」)。
具体例:月次チェックのイメージ
ある一人会社の、ある月の確認例です(数値は説明用)。
現預金残高(月末) 1,800,000円(先月比 −200,000円)
今月の入金 600,000円
売掛金(未入金) 900,000円(来月入金予定)
固定費 250,000円
役員報酬 300,000円
社会保険料(会社+本人)約 85,000円
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ざっくり利益感 ほぼトントン〜やや黒字
2か月後に法人税の支払い(約40万円)→ 今から取り分け開始
このように並べると、「今月は入金が少なめだが売掛金が来月入る」「2か月後の納税に備えが必要」といった判断が一目でできます。
月次チェックのコツ
- 毎月同じ日に見る(例:月初の5分)。習慣にしないと続きません。
- 正確さより継続。ざっくりでも毎月見る方が、年1回精密に見るより役立ちます。
- 納税・社保用のお金は分けて考える。手元残高に含めて「ある」と思わない。
- 数字はいつも同じ形で記録する。並べ方を固定すると、変化に気づきやすくなります。
まとめ
- 一人会社は、現金が切れないことを最優先に、毎月ざっくり数字を見る。
- 見るのは6つ:現預金/入金/固定費/役員報酬+社保+税の備え/ざっくり利益/数か月先の見通し。
- 役員報酬と社会保険料は毎月の固定費。後から来る納税・社保は取り分けておく。
- 正確さより継続。毎月同じ形で記録するのがコツ。
役員報酬と社会保険料・税は、金額が決まれば毎月の固定費として読めます。報酬額を入れるだけで社会保険料・税・手取りまで出る仕組みがあれば、月次の「備えるべき金額」もすぐ把握できます。
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参考
- 中小企業庁「中小企業の財務・資金繰り」関連資料
- 日本政策金融公庫 資金繰り表の様式・記入例
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